様々な経営管理手法がある中で本書が優れているの点は、学習する組織特に学習する個人にするための方法に特化していることだと思う。<P>10STEPSのなかで重視されているのは、①現状を正確に把握すること、②段階別に進むことの2点にあると感じる。<P>組織が結果を残すためには、社員一人一人のモチベーションを上げるのが最も効果的だが、最も時間がかかるものである。<P>理論的な事例が豊富に出てくる点が素晴らしいと思うが、あまりにも多すぎて本書の骨子を忘れそうになることがある。10STEPSを行なって成功した事例が十分ではないのかもしれない。<P>ステップ7の「ビジョンを描く」からスタートし、ビジョンに必要な社員像を決め、そのために必要な学習、スキル、習慣を決めた方が効率的で混乱が少ないと思いますが、ある程度開放的な組織風土で、既に学習するという文化が根付いている場合には本書のフローの方でうまく流れると感じます。<P>個人の成長が最大の差別化となる現代において、学習する組織と企業目的は表裏一体であり、企業目的に学習する文化は包摂されると理解しました。<P>そのまま実践しづらいので、本書のエキスを使って、組織改善に使用しております。
本書は企業が「文化」を造りだす「学習する組織」でなければ、成長は難しいことを教えてくれる。「学習するか、それとも滅びるか」という選択が読者に突きつけられるのである。<P>問題は書かれている内容を気恥ずかしいと思わずに組織で実践することができるか否かである。筆者が主張するようにすべての「プロセスを順番どおりに実行していく」ことは難しいし、必須であるか疑問である(「学習する組織」でないことの証明かもしれないが)。<P>全体としては一読の価値はあるが、訳文の関係もあり、表現が回りくどく、エピソードも分かりにくい点が少なくない。重複を避け、効果的な図解を用いれば、5分の1の分量にまとめられよう。<P>本文における不備な個所の具体的な例を掲げれば下記の通りである。<P>1. p. 23 の The Fifth Discipline と p. 397 の「第五のディシプリン」の対応が不明確。<BR>2. p. 194の「いろんな色のマジックペン」の用途の記述が見られない。<BR>3. p. 227の「ドローイング」は「絵を描くこと」と思われる。<BR>4. p. 298の「200億人」の根拠が明示されていない。<BR>5. p. 386の「98パーセント」の根拠が明示されていない。
「経営学」と「教育学」を組み合わせた本にめぐり合ったのは初めて。<BR>理論書としてだけでなく、実践書としての価値が非常に高い。<BR>「トップダウン型」のマネジメントでなく、社員自らが学び「文化」を造りだす環境づくりが大切なことと思った。<BR>企業だけでなく、あらゆる「組織」に通用する属する方々にお勧めしたい良質な実践書です。