ICUを回る前に読んでも意味が分かりにくいかもしれませんが、<BR>終わった後に読むと大変面白い本。「どうしてこうなるのか」<BR>と考える癖がつきます。三次救急では忙しすぎてただこなすだ<BR>けで精一杯かと思いますが、どうしてそういう治療をするのか<BR>生理を軸に理解しておく必要があります。<P>三次の施設を離れても、自分の力で再現性のある治療ができなく<BR>てはいけません。
いまどき珍しい単独著者の教科書である。よく調べられており、参考文献に裏付けられた知識がきちんと整理されている。教科書らしからぬ文体のために「マリノ・ワールド」などと評されたこともあるが、決して独善的ではない。病態生理学書としてみるには深みは足らないから、むしろマニュアルの一種として読むべきだろう。それに結論が出ていない問題についても、現時点でのとりあえずの方針も書かれている。これらは決して欠点ではない。とくに集中治療の現場で若い医師が読むであろうことを考えれば、むしろ理想的と言ってよい。ここをスタートにして各臓器の専門書に進めば、当該臓器の集中治療の勉強には好都合であろう。
集中治療医に必要な知識がコンパクトにまとめられていて、スラスラと読めます。知らない分野の概観をつかむ、今ある知識を整理する、どちらの目的にも十分適している教科書です。<BR>章の頭に挿入される引用句(例えば、「学習を妨げるのは、すでに知っていると思うことである。」-Claude Bernard)や、ときどき顔を出す著者のユニークな主張(例えば、人工呼吸の適応:気管挿管し人工呼吸を考えているということ自体が、その適応である。)などが程よいスパイスとなっており、この教科書を読み物としても魅力的にしています。