「渋滞とハイスクールララバイ事件」を読んで、昔、運送会社に勤めていたときに、得意先が一週間ほど配達ストップにしていたことを思い出しました。今から思えば、税務監査が入っていて入荷した商品は簿外品だったのではないかな。かなりの量の商品がたまったっけ。<BR>企業買収の話にしてみても、会計がわからないと事の本質が見えてこないよね。本腰入れて勉強しようと思います。<BR>そういう私のような初心者向けの本です。はやく5巻が出ないかな。
小説仕立ての事件を読んでいるうちに知らず知らずに会計の知識が身に付く、という本書の推薦文をみかけました。<BR> そういえば、難しそうなことをマンガで分りやすく解説する、という本が一時流行していましたねぇ。石ノ森章太郎の「マンガ日本経済入門」がベストセラーになり、私もこの本を読んだおかげて「MOF担」なんていう言葉を覚えました。だからといって何か役に立ったわけでもないのですが、大蔵省職員への過剰接待が問題になった時、「あっ、知ってる。接待した銀行の担当者のことをMOF担っていうんだよな~」と、少しだけ嬉しかったことを思い出します。<P> 「経済」とか「会計」というのは、やはり、少しでも「分ったつもり」になりたいものですが、本格的な教科書はシロートには手が出しにくいものです。<BR> ということで、薄い新書で取り付きやすいことが魅力だったので、手にとってみました。<P> この本は「女子大生会計士」シリーズの4冊目。マンガにもなっているそうです。人気があるんですね。<BR> 現役女子大生なのに会計事務所職員で法人の監査をしている、という設定には、「おいおい、いつ大学に行っているんだよ」とツッコミを入れたくなりますが、ともかく主人公の萌美(この名前もコテコテですねぇ)は何でも解決してしまうスーパー公認会計士で、30歳の「僕」といっしょに事件に遭遇していきます。<BR> お勉強マンガみたいなものですから、あまりストーリーの面白さを期待していませんでしたが、予想に反して結構読ませます。特に会社の乗っ取りを阻止しようとする「企業買収ラプソディー事件」の当事者の息詰まる応酬は、まるで高杉良の経済小説のようです。(ちょっと褒めすぎ?)<BR> この事件の解説で第三者割当増資、公募増資、株主割当増資なんていう言葉も覚えました。<P> あまり期待していなかった分だけ、とても面白く読ませていただきました。
今回のネタは、返品の不正処理、在庫隠し、融通手形、企業買収。<P>特に企業買収の話は、会計の仕掛けだけでなく、ストーリーにも厚みがあって、よくできていると思います。<P>大阪に傷薬のトップブランドがある。長年かけてこの薬を育ててきたオーナー社長と従業員がいる。愛用者も多い。ここに外資企業が自社製品をぶつけたが、トップブランドが強くて思うように売れない。そこで、会社ごとそのブランドを抹殺しようと企んだ・・・。<P>資本主義の原則ではもちろん、企業は株主のもの、ではあるけれども、資本の論理と真っ当な人間の倫理観、正義感といったものが、往々にして矛盾する。企業は誰のものか、ブランドは誰のものか、といったことを改めて考えさせられる話です。<P>ところで企業買収は、この小説よりも現実の方がきっともっとエグイ。外資相手にこんなに簡単に企業買収が阻止できるとは思えません。副島隆彦氏の『老人税』に長銀買収のウラ話がありましたが、もう夢も希望もないようなドス黒い世界で暗澹たる気持ちにさせられます。<BR>それに比べれば、本書では必ず、「最後は義理・人情が勝つ」ので、安心して読んでいられます。著者の山田氏はきっとロマンティストで、性善説を信じているのでしょう。その意味でこのシリーズはやはりミステリーではなく、ある種のファンタジーだと思います。