教科書的なMBA本に飽きているヒトにはお薦めです。<P>貧困問題に対して、ホワイトバンドなんかと対照的に、<BR>「変に慈善ぶらずに、先入観を捨てて全うなビジネスをやれば解決できる」<BR>というのが斬新でした。<BR>基本的には国際的に資金力がある大企業が対象になってますが<BR>今まで相手にしなかった人たちへの常識をくつがえすという点では、<BR>いろいろな意味で大企業じゃなくても参考になります。<BR>著者のクセとして、文章がちょっとくどい感じはしますが。<P>付属CDのビデオは英語ですが、<BR>WindowsでWMPの最新版なら、日本語の字幕付きでみれますよ。<BR>(巻末に説明あり。WMPでこんなことができるとは知らなかった。。)
470ページ+CD付の読み応えある一冊。(CDは英語のナレーションまたは字幕のみで、日本語ではありません。)<P>世界における所得階層を構成する経済ピラミッド。その底辺に位置するのがBOP(ボトム・オブ・ザ・ピラミッド)。そこには40億人以上もの人が位置しています。その人々を、『顧客』としてとらえることが本書のテーマです。<P>前半部分で、BOP市場相手に成功する原則を説き、後半部分では、12の実企業(うち3つはCD収録のみ)のケーススタディを行っています。<P>ポイントは、<BR>1.BOPの市場特性をよく理解する<BR>2.イノベーションを起こす<BR>3.貧困層が自ら選択し、自尊心を養う機会を創り出す<BR>こと。<P>1については、今までの常識を疑ってみることが必要です。著者いわく、BOP市場の人々には潜在的購買力があり、ブランド志向もあるとのこと。<P>2については、規模の拡大を前提にする、求められる機能を一から構築する、など、イノベーションの12の原則を説明しています。<P>3が重要な点で、著者の主張が単なる市場原理崇拝ではない点に共感できます。また、開発援助による弊害も克服できます。<P>常識を疑い、マーケットを見つけ、特性・ニーズを調べつくし、『顧客』とWin-Winの関係を築いて行く点は、BOP市場以外にもあてはまることです。随所にいろいろ参考になる記述があり、多くの気付きを与えてくれる内容でした。一読の価値ありです。
12のケースが収められており、BOP(bottom of the pyramid)でイノベーションを起こした事例が紹介されています。<BR>BOPビジネスチャンスが世界規模の大きなチャンスであることを指摘しています。ビジョンや指導力があれば、50億の巨大なボリュームのマーケットを社会変革を伴って創り出すことが十分可能であることが示唆されています。<BR>ケースでは、先進国政府の経済支援ではなく、民間企業活動や、企業とBOP政府のパートナーシップが、BOP消費者と新しい信頼関係を根気良く築くことの重要さがわかります。BOPでは、社会の価値連鎖が断たれて機能不全状態にあることが貧困の原因であり、企業とBOP双方の意識と社会システムを改革しながら機能不全を解決できれば、消費を顕在化できるのです。ケースは幅広い産業分野に及び、先進国の全産業が既存能力でもアプローチを変えれば成功のチャンスを秘めていることが示唆されます。規模拡大を前提にできる点が先進国の課題と一番異なる、最大の機会です。<BR>この本は、アマルティア・セン論文とあわせて読みたい、刺激的なケースブックでした。MBA必読です。