改憲論者が、いかに論点のすり替えをしているか、この映画を観ると、よく分かります。<P>平和は享受されるものではなく、民衆が自らの手で手に入れ、守り、受け継いでいかなければならないものだと、強く認識させられます。
わたしたちは、メディアや識者から「現行憲法は現実にそぐわない」という主張を繰り返し聞かされ、かれらのいう「現実主義」の狭い枠組みのなかのこまごました議論に日々、付き合わされています。この映画は、日本国憲法と戦前戦後の日本にかかわりをもってきた人、あるいは関心を寄せてきた人たちのインタビューを通じて、国内の世情に狭まりがちなわたしたちの視野と想像力を解き放とうとします。インタビューに登場する人たちの声に共通するのは、軍国主義を経験し現在経済大国である日本が憲法九条を放棄することが、ただちに国際社会からの不信を招くだろうということです。ベトナム戦争での韓国の加害責任を追及してきたハン・ホングはいいます「これまでアジアの人々が過去への怒りを抑えてきたのは、憲法九条があったから」。中国での日本軍の犯罪行為を追い続けてきたバン・チュンイはいいます、「九条をまもることは『わたしたち』の責任であり、急務なのです」。この映画は、日本国憲法が戦争の災禍を断ち切り平和に生きようとした人々の願いと理想のうえにつくられたという「過去」と、改憲が平和に生きようとする世界の人々にいかに落胆を不信をもたらすかという「現在」の問題を、60年前のフィルムやイラク戦争反対のデモ、従軍慰安婦の映像なども交えながら浮き彫りにしていきます。各地で上映会が開かれていますが、ビデオやDVDも発売されていますので、小さな集会やイベントなどで見るのにいい映画です。
アメリカ人であるユンカーマンが、日本国憲法をテーマにした作品を世に送り出そうとした一番の理由は、「危機感」からである。<BR>憲法9条を変えることがいかに危険なこと、おろかなことであるかをこの映画は訴えている。<BR>そしてこの映画を通して教えられた一番のことは、日本国憲法は日本だけのものではなく、世界の中にあって非常に重要で価値のあるものだということ。そのことについてアメリカ人、日本人、韓国人、中国人(香港)、アラブ人がそれぞれの視点で語る。<BR>憲法の論議は、ドメスティックなものではすまないのだ!<BR>これから世界の中で、平和憲法を持つ日本人として、どのように生きていけばよいかを問いかけられる作品である。<P>憲法について、国際関係(特にアジアとの)についての視野が開かれること請け合いです。