現代人が忘れていた何かを思い出させてくれる作品です。どこか懐かしい感じのするネオ・ヴェネツィア。人も、街も、自然もみんな優しく、ほんわかムードに包まれたコミックです。心温まるお話を読みたいならば、ゼヒ購入してみて下さい。
非常に感動して、絵に見ほれて、ページをめくるのがもったいなくて、同じ部分をなんども繰り返し読んだ。のんびり読んだ。じんわり泣いた。 <P>もともとは、昔erkさんに薦められたマンガ。曰く「広い景色を魅力的に書くよ」。その言のとおり、写真でいうところの超広角なパースペクティブの強い風景描画がたまに出てきて、それがとてもとても美しい。借用した単行本カバー画像でも十分伝わると思う。 <P>物語の内容ものんびりしてて。主人公がふんわりしてて。 <P>第1話の迷子の頑固おじいさんに向かって、主人公あかり(灯里)が微笑んでこう言う。 <P><< <BR><BLOCKQUOTE> <BR>私もいまだに迷子になることがありますよ。そういう街なんです、このネオ=ヴェネツィアは。 <BR></BLOCKQUOTE> <P>その笑顔、その後の運河での心あたたまるやり取り、そしてダメ押しの紅葉落葉のシーンで、頑固オヤジ同様に放心し、感心し、憧れた。 <P>わたしもこんなふうにのんびりと、日々を楽しんで生きたい。少しの風景変化も見逃さずに感動できるだけの感受性を残していたい。 <P>●●設定紹介 <P>舞台は2301年、火星。テラフォーミングされ、水の惑星と化しており、移住者は親しみを込めて火星をAQUAと呼ぶ。ちなみに地球はman home。 <P>AQUAのネオ=ヴェネツィアは、man homeのヴェネツィアを模して作られた観光地・運河の街。ここには、観光客を舟(ゴンドラ)に乗せて案内する、水先案内人がいる。それをウンディーネと呼ぶ。 <P>(ここでウンディーネ(水の精霊の名)を持ち出すあたりのネーミングセンスが好き。) <P>主人公あかりは、観光会社ARIAの見習い社員。まだ先輩同行でないと、お客さまを案内できない。 <P>man homeが徹底して機械化・自動化されたのに対し、AQUAは意図的に手動・人為を残している。そこには生のひとの営みがあり、四季がある。 <P>物語は、あかりらによるネオ=ベネツィアの観光案内をお客と同様に楽しんだり、灯里らのほんわりとした日常に触れたり。そういうのんびりしたマンガ。 <P>●●好きな絵 <P>上記の1話のあかりの笑顔(p21)と、落葉のシーン(p28-29)。 <P>第2話の舟(ゴンドラ)を洗うときに、空に浮かべるシーン(p47)。 <P>第3話クライマックスでの“ため息橋”上空からの広角描画(p95)。 <P>まだここまでしか読んでおらず。 <P>余談だが、ゴンドラの表面陰影や服の影の部分を丁寧な網掛けで描画しているのもお気に入り。 <P>------------- <P>それにしても、magガーデンあなどれじ。 <P>●●彩色 <P>カバーおよび1枚目がカラー。空・雲および水がとても綺麗。とくに水の青緑および波表現の白、その波が白い石の建物にぼんやり写っているところがすごく好き。 <P>(作者Webによると、線画スキャンのうえPainterを使っているそうだ。)
この作品を手に取った理由。それは、絵がいいからでした。内容にそこまで期待していなかったのですが、呼んでみてビックリ。そこに流れる独特の雰囲気と、ゆったりとした時間に、我を忘れひたすら読んでいました。そして、読み終わった後の和みようと言ったら・・・。<BR>綺麗な絵の漫画、テンポのいい漫画、ストーリーのいい漫画などなど、それらを一つずつ、あるいは、二、三満たした漫画は探せばいくらでもあります。しかし、「ARIA」はそれらとは一味違う、ほのぼのを超えた和みを与えてくれるでしょう。