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| 江戸という幻景
(
渡辺 京二
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ここ数年、江戸時代の文化や風俗が流行っていましたが、<BR>本書を読むと上っ面の江戸時代理解ではない、現代の我々<BR>からするとまるで異質な江戸時代の人々の生き方の断片を<BR>垣間見ることができます。<P>「江戸っ子は宵越しの金は持たない」とよく言われますが、<BR>明日とも知れぬ命なのだから先々のことを心配しても仕方<BR>ない、今の瞬間瞬間を生きることの大切さをわかっていた<BR>ので生に汲々とすることを潔しとしない、という思想と<BR>いうか、生き方の哲学のようなものがあったのだ、と得心<BR>しています。<P>思わず吹き出したり心が痛んだりするエピソードが満載<BR>されていますが、読んで考えさせられるのは、「生きる」<BR>ことに対する取組み姿勢、といったらいいんでしょうか、<BR>濃い生き方とは何か、を問われている気がしました。<BR>それと、我々がステレオタイプ的に四角四面に思っている<BR>江戸時代の制度やシステムの本質が、極めて柔軟性に満ち、<BR>いわゆる人間味溢れるものだったということです。<P>こうした目の覚めるような本にもっと出会いたいと思いました。
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