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| 九州遺産―近現代遺産編101
(
砂田 光紀
国土交通省九州運輸局
九州産業・生活遺産調査委員会
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この「九州遺産」は、その圧倒的な内容に「本当に九州内だけで取材されたのか?」と思うほど、幅広い分野やバラエティに富んでおり、非常に興味深く、面白い。複雑な歴史に翻弄されてきた九州には、実はヨーロッパの一国にも劣らない質と量の近代遺産がこれほど表情豊かに、かつ現存されているとは、驚きの連続だった。<P>美しい写真やイラストも、息を付く間もないほど素晴らしい。筆者の理論的で整然とした説明文や図表も分かり易く、小学生高学年くらいならば平易に理解できるだろう。ただ、それら多くの遺産の保存を巡っては「危機的状況」にあり、筆者の悲痛な叫びもにわかに感じ取れたのが印象的だった。先人達の英知と、今を生きる私たちがどう向き合うのか?何度読んでも飽きない、多くのインスピレーションを与えてくれる一冊である。
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