私は元々アンジーの大ファンであり、この本を読むのもただアンジーが書いた本だから。という理由でした。彼女が前々からUNHCRの親善大使に任命されたことは知っていましたが、それ以外の知識は何もありませんでした。ですが、この本を読むうちに彼女が取り組む難民問題が身近なものに感じられ、完読した時には著者がアンジーだという事を忘れていました。それ程、難民問題は残酷で深刻な問題でした。アンジーはただ、その現場へ行き切実にその状況を私達に伝えようとしています。その中に売名行為・偽善といったものはひとつも感じられません。何よりもこの本は私達一人ひとりに語りかけるものがあります。私もこの本に突き動かされ、今ではUNHCRの助っ人会員として活動をし始めています。この本との出会いは衝撃でした。
生きることに懸命で、感謝を忘れず、何より家族を心配する彼ら…そしてサポートする人々の温かさ。真っ直ぐな彼らと一緒に明日を生きるために支えあい、見えない未来を模索する。そんな姿が、アンジーの文章から浮かび上がってきて、何度も涙をこらえた。もどかしい思いと共に敬服した。<P> 国連難民高等弁務官事務所のスタッフと共に、難民が溢れるキャンプを訪れて現実を見せ付けられる。そこには命以外何も持たない人々がたくさんいる。自分の存在証明すらないのだ。難民としてIDを発行してもらえなければ、食料さえない。でも、彼らは真っ直ぐで懸命。『ノー・モア・ヒロシマ』と同じで、傷ついたのは彼らなのに、『憎しみを捨てよう』と叫んでいる。何かしたい。…何ができる?そんな思いが繰り返し浮かぶ。<P> アンジーは政治的な話ではなく、そこで見たもの感じたものを率直に綴っている。そして、危険地域へ行き、どんなに怖い目に遭っても、現地サポーター達は言う。「彼らを助けることができて、とても嬉しい。」もっともっと世界は知るべきなのだと思う。<P> 元国連難民高等弁務官の緒方貞子さん著『私の仕事』をあわせて読むと、現地の様子と運営の詳しい状況が解かる。運営側からとスタッフ側からと視点を変えて知ると、より色々なことを考える機会になると思う。
どうして同じ星に生まれた人間なのに、争い、傷つけあうのだろう。そして私にできることは?<BR> アンジがその目で見て、経験したことを彼女の素直な言葉で日記形式によって伝える過酷な現実。<BR> この本に出会わなければそんな状況について知ることもなく、またこのような考えさえ生まれなかっただろう。<P> 争いの絶えないこの世界で本当に大切なこととは何かをあらためて考えさせてくれる、そして1人の人間としてのアンジの素敵な人となりというものが見うけられるすばらしい一冊です。