投資家、経営者のバイブルです。<BR>投資家としてもっとも影響を受けた良書です。
恥かしながらウォーレンバフェットという人物をよく知らなかった。「世界一の投資家」だの「ビルゲイツに次ぐ大富豪」だのと言われていたので、てっきり金融工学などを駆使して短期に利益を稼ぐ人物だと思っていた。ところが彼の哲学は凡そ自分の想像していたものとは全く正反対だった。その投資哲学は極めて本質的であり、オーソドックスであるとすらいえる。つまり「成長する企業に投資する」この一点だ。<BR>例えば彼が本文中で述べている買収の条件にその哲学が端的に現れていると思う。(特に②~⑤)<BR> ①大きな買収(税引後の収益が少なくとも1000万ドル)<BR> ②一貫した収益力の証明(将来予測はほとんど重要ではない)<BR> ③負債がわずかあるいは全く用いないで高い収益を上げる企業<BR> ④経営陣が定着している事(経営陣は入れ替えない)<BR> ⑤単純な企業<BR> ⑥価格が提示される事(仮定の話はしない)<BR>また「株価」というものはは常に企業の成長と一致している事が望ましいと述べ、自身の経営するバークシャーハサウェイの株価ですら実態以上に株高になる事を望んでいないし、単に売却益だけを狙う短期投資家の存在にも否定的である。<BR>この他にも「企業価値」や「ストックオプション」などについて氏自身の考えを明確に述べており、単に投資家としてのバフェットというより経営者としての考えが窺える。(実際この本はバークシャー社の株主に対する手紙なのだが当たり前だが)<BR>これからも読み返すごとに新たな発見ができそうな一冊である。
バフェット本人の書簡をもとに編集されたこの本は、投資と経営の(考え方においての)不可分性を強く感じさせる。バフェットの名前から、株式投資に関心のある方が手に取ることが多いのだろうが、実用性のレンジはもっと広いと思う。