この著作の本質は「時価に対して大きな安全域を有した価値のある<BR>銘柄を探す」ということである。そうした意味で、いわゆるバリュー株<BR>投資の教科書とも言われるもの。<BR>グレアムがバフェットの恩師である<BR>ことはよく知れており、バフェット投資の本質は本書の本質でもあろう。<P>投機と投資の厳密な区別、厳しい基準による銘柄選択、分散投資と<P>債券との資金配分等など、今日でも通用するグレアムの投資方法が<BR>解説されている。<P>しかしながら、本書は30年以上も前の著作であり、当時の米国市場<BR>の状況やその中での個別企業の紹介などが中心となっているため、<BR>現在の私たちがこの本を読んですぐに具体的なイメージをとらえると<BR>いうことは簡単ではない。そうした意味では、読みやすい内容、気軽<P>に読める内容の本ではない。<P>じっくりと噛みしめながら、同時に、不要と思われる部分は読み飛ばし<BR>ながら、内容の本質を自分のものにしたい一冊。
この本の中では、投資と投機との違いを明確に区別し、安全域をとりながら投資アプローチをとることによって十分な投資収益をとることは可能であると述べられている。 <BR> また、一つの手法として、株投資家への選別基準として、<BR>1、財務状態 流動資産ー流動負債が1.5倍以上、負債が賞味流動資産の110%以下<BR>2、収益の安定性 過去5年間欠損を出していないこと<BR>3、配当の実績 現在配当がだされていること<BR>4、収益成長<BR>5、株価 1株あたり正味有形資産の120%以下であること<BR> が取り上げられていてそれを安全域として取り上げている。<BR> この本から、「たった1回の幸運、たった1度の最高の抜け目ない決断によって熟練者(マネージャー他)が生涯努力を費やした結果以上の成果を生み出される可能性が高い」という項目が非常に興味を引いた。そうしたチャンスをものにするためには、「そのための手段と判断力、そして勇気が必要である。」とも述べられている。<BR> 一つ、心残りなのは、この本が1970年を基に改定されている点である。
グレアムは投資業界の天才の1人だろう。ただし、グレアムが言っていることを、現在の日本でそのままやろうと思ってもそれは無理というもの。<BR>時代環境が違うからだ。ただし、2つの原則(①投資と投機は異なる、②市場価値(時価総額)と内在価値は異なる)から、<BR>a安全域の原則とb市場に対する精神的態度(ミスターマーケット)を導いた、<P>この知的なフレームワークは現在でも通用する普遍の真理とも言えるものだ。そう、グレアムはガリレオなのである。<BR>バフェットはグレアムの天才性に感銘して、無給でもいいから働かせて欲しいと頼み込んだ。<P>現代の最強の投資家の師匠なのである。バフェットは上記の知的フレームワークに、企業の価値に関する自分なりの仮説」を付け加えて大成功したのである。<BR>我々もグレアムの知的フレームワークに、何か1つオリジナルなものを付け加えられたら、歴史に残る投資家になることが可能なのである。