戦後40年の一敗戦国からのメッセージです。
<br />戦争というものには様々な見解がありますが、
<br />誰でも違和感なく読むことができるのではないでしょうか。
<br />大統領の言葉は、ドイツ人でない我々にも重く簡潔に迫ってきます。
<br />民主主義や共存について、
<br />大戦を経た世界に一つの指針を示したものだと思います。
一時間程度で読める本だが、非常に内容が濃密で高尚な精神性にあふれる演説である。真摯に自国の忌まわしい過去と向き合い、それを公に告白し、そしてそれを糧に将来を切り拓いていく。無念の死を遂げた戦没者に贈る最高の鎮魂曲でもあれば、これからの世代に対する、平和と正義の実現への切実な訴えでもある。その根底に流れるキリスト教信仰は、某国が最近惹き起こした戦争などとの関連でかなり厳しい批判にさらされているが、この演説は<罪の告白と赦し>という本物のキリスト教信仰の素晴らしさを垣間見せてくれる。<p>訳は気品にあふれて読みやすい。詳細な注釈もつけてあり、演説の背後にある様々な歴史的事情がよく分かる。巻頭、巻末の解説もなかなか良い。
これほど「岩波ブックレット」の存在を有難いと思ったことはなかった。ヴァイツゼッカーの演説がこれほどの安価で手許に置けるのだ。ヴァイツゼッカーの圧倒的な深みある言葉に魅了され、自分の思考を磨こうと努力すると、ホンモノでないまやかしの言葉を見極められるようになる。その第一歩として、まずはこの代表的演説を読んで見て頂きたい。