5つの短編に加えて、アースシー解説を含めた本。
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<br /> アースシーの世界をより深く知ることができ、また人々や魔法、言語、文化といった物語を形成する深い部分を知ることができる本である。ロークの形成過程や大賢人時代のゲドの一エピソードを知れる本である。
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<br /> アースシーをよりよく知りたい方は是非。
これまでゲド戦記においては,北から東南海域(1巻),カルガド帝国(2巻),南から西海域(3巻)と同時代の地理的に移動することで物語が展開していた。
<br />今回はそもそもローク島の学院がどうして誕生したのか(カワウソ),若きオジオンとその師が地震に立ち向かったのか(地の骨)など,歴史へ踏み込んだ展開となり,ゲド戦記の背景世界の厚みを増す事に成功している。
<br />また,魔法使い同士の友情と普段の生活で人々を守っている"まじない師"の日々の活動を描く(湿原)。そして5巻の重要人物であるアリシアンのそれまでを描く(トンボ)。特に5巻を読まれる前にトンボは読んでおかないと,彼女とロークの魔術の長たちとなぜ知り合いなのかが理解できないため,読むべき1巻である。
ここに収められている作品は、全て「風」の前に書かれたものであり、作者も「風」の前に読まれることを望んでいるのは、「まえがき」でも明らかです。
<br />「とんぼ」は「帰還」と「風」の間を直接埋める話ですし、他の話も、「とんぼ」ほど直接的ではないにしても「風」の内容を理解するのに必要なものだと思います。外伝という言葉に惑わされないで、アースシーの物語の真の最終巻である「風」の前に読んでおくべきです。