「指輪物語」の前作という位置づけだろうが 読んでみると ある意味では全く違う作品であることに驚く。
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<br /> 「ホビットの冒険」は子供向けに書かれた素晴らしいファンタジーであることは論を待たない。実際 ホビット達が冒険を続け、ドワーフと共に龍を倒すという話は読んでいて心が躍る。自分の子供にも是非読ませたい作品だ。
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<br /> 一方 この話を発展して出来上がった「指輪物語」は 素晴らしいファンタジーだが 完全に大人向けである。例えば ガンダルフを比べても分かる。「ホビットの冒険」ではただの(と言ったら失礼だが)魔法使いである。しかし 「指輪物語」では 根源の悪と戦う「戦士」と言って良い。
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<br /> この作風の違いの理由を考えると これはもう 原作者トールキンの「熟成」としか言えないと思う。彼も「指輪物語」を書き出した段階では 子供向けファンタジーのつもりだったのかもしれない。実際 トムボンバディルが出てくる辺りまでは 「ホビットの冒険」に雰囲気が似ている。しかし その後 フロドが負傷した辺りから がらりと雰囲気がシリアスになっていく。トールキンが書いているうちに ペンが勝手に新しい作品を書き始めた感すらある。
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<br /> 「ホビットの冒険」は素敵な話だ。リラックスして読める。その後のビルボを知っている僕らにしても。
指輪物語を読むための参考書のような本。<br>少年向けに書かれているためか、指輪物語では省略ぎみの各種族の特徴や中つ国のことがとても丁寧に書いてあります。<br>すばらしい翻訳で読みやすく、親子で楽しめる本だと思います。
映画「ロード・オブ・ザ・リング」を楽しまれた方は、この本を読むことを強くお奨めします。「ホビットの冒険」の予備知識があった方が、映画(または書籍「指輪物語」も同様)をさらに楽しめます。<br>映画を見ていて「これって何のことをいっているのだろう???」と思うことがしばしばありませんでしたか?(たとえばフロドがスティングをゴラムに突き立てて「これはスティングだ!以前見ただろうっ!」と怒鳴る場面) その??は「ホビットの冒険」の中の話かもしれません。