ロマン・ロランの「ベートーヴェンの生涯」、「ベートーヴェンへの感謝」を中心に、「ハイリゲンシュタットの遺書」、「ベートーヴェンの手紙」などベートーヴェンの生涯を紐解いていく名著。自分の為にではなく、不幸を味わっている人々のために作曲をしようとするベートーヴェンの精神力に思わず涙してしまいます。運命を受け入れ、悩みを突き抜けて歓喜にいたろうとしていたベートーヴェンを思うと「交響曲第5番」「交響曲第9番」もまた一層素晴らしく思えます。壁にぶつかった時に、この本を読むと自分の悩みはなんて小さなものなのだろうと勇気付けられます。ぜひ一度読んでいただきたい名著です。
なぜ音楽史においてベートーヴェンが特別なのか。<br>イベントと化してしまっている第九演奏は別として本当に<br>ベートーヴェンを理解し彼の音楽を愛している人は少ない。<p>これから彼の音楽を聴こうという人は本書を紐解くといいだろう。<br>彼の音楽は、「芸術の至高の成就であると同時に雄雄しい道徳的徳性<br>である」とロランは言う。<p>ベートーヴェンの「心の善こそが人間の卓越性の証拠である」、<br>「哀れな悩める人類に役立ちたい」という思いが彼の音楽には<br>込められている。そのような音楽家は後にも先にも居ないのである。<p>ロランの「地上の全民族から成る私たちは彼において結合する」と<br>いう言葉は、彼を過度に英雄視していると捉えられなくもないが、<br>彼の音楽にそう思わせるもがある事も確かなのだ。<p>しかしそれらと対比して「自分は一人も友を持たない。世界中に<br>一人ぼっちだ」、「喜劇は終わった」という晩年の彼の言葉は<br>寂然としている。<br>そんな、人間ベートーヴェンを本書では垣間見ることができる。<p>これを機会に、ベートーヴェンの全交響曲だけでなく、<br>16曲の弦楽四重奏と、32曲のピアノソナタを聴き直してみる事を<br>おすすめしたい。これらにこそベートーヴェンの真髄が宿る<br>からであって、本書への理解もさらに深まると思う。
熱いです。<br>聴力を失った音楽家が悩み、悩み、<br>そして生の喜びへと突き抜けていく。<br>書くとチープなんでごめんなさいですが、<br>読んでて泣きそうになるほどいいです。<br>圧倒的に感動してしまいます。<br>できれば家でオーディオで第九を流しながら、<br>曲の流れと同じ感じで読みたいです。