最初に読んだのは、高校の頃。入学時に無理やり読まされた記憶があります。久しぶりに読み返し、その内容の面白さ、文章の深みに驚きました。
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<br />初版は60年近く前。カナもふられていない難しい漢字が満載で、文体が古臭い箇所もあり、読むのに少々骨が折れます。
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<br />英国の私立の中学・高校に相当するパブリックスクールで学んだ著者が、その経験をもとに、英国のエリートがどのような環境で育まれるのかを述べています。
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<br />藤原正彦氏が『国家の品格』の中で書かれているように、真の意味でのエリートが本当に学ばなければならないものを教えてくれます。
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<br />本来、教育とはどうあるべきか、ノブレス・オブリージュとはどういうことか、など、内容が詰まった書です。
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<br />「自由は規律をともない、そして自由を保障するものが勇気である」
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<br />時間を掛けてしっかりと読みたい良書です。
オックスフォード・ケンブリッジの生活は極めて快適であるのに、その前段階のパブリックスクールでは、ここまでやる必要があるのかと思うぐらい物質的に厳しく制限された生活である。この先の苦難を思えば、必要な事だと学生の親は考えているのである。他にも傾聴に値する言葉がたくさん盛られている。
けだし、この書は以下の引用2文に尽きている。<p>服従の精神<br>「その行為自体の善悪が問題なのではない。ある特定の条件にある特定の人間が、ある行為をして善いか悪いかはすでに決まっていて、好む好まないを問わずその人間をしてこの決定に服せめる力が規律である。そしてすべての規律には、これを作る人間と守る人間があり、規律を守るべき人間がその是非を論ずることは許されないのである。」pp.61<p>自由の保障(小泉信三の言)<br>「かく厳格なる教育が、それによって期するところは何であるか。それは正邪の観念を明にし、正を正とし邪を邪としてはばからぬ道徳的勇気を養ひ、各人がかかる勇気を持つところにそこに始めて真の自由の保障がある所以を教えることに在ると思ふ。」pp.89