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知的生産の技術 ( 梅棹 忠夫 )

☆5つ。 <br /> <br />タイトルからヘハウツー本をイメージさせるが、 <br />単なるハウツー本であればこれほど末永く愛読されることはないだろう。 <br /> <br />この本がかなり前に書かれたのにもかかわらず、その新鮮さが失われていないのは、 <br />著者が繰り返し試行を行うことで非常に論理的に本質を突き詰めているからである。 <br />  <br />たとえば情報カードを選択する時の基準ひとつをとってみても、 <br />紙の厚さから、色、紙質など、とにかく「なぜそうあるべきなのか」という理由が必ず存在しており、 <br />そして何かの迷いが生じたときには「そもそもの目的は何か」という原点に立ち戻ることを忘れない。  <br /> <br />そうした著者の思考プロセスは、今はやりの論理的思考のマニュアル本を読むより、ずっとためになるかもしれない。 <br /> <br />パソコンなど高度な情報処理の機械が存在しない時代に、先人たちがいかなる努力をして情報管理してきたのかを知ることは、 <br />情報管理の本質を見つめなおす良い材料となるはずである。  <br /> <br />情報の洪水に飲み込まれそうな多くのビジネスマンにお勧めしたい本である。 <br />

古い本ですので、そのままでは非効率な面もありますが、間違いなく、知的生産の原点です。 従来より、KJ法にはなじんでいたので、大変すっきりと腑に落ちました。 仕事、プライベートと、いたるところで、基本技術を応用させてもらっています。 小手先の情報整理本をたくさん読むより、まずこの本をお勧めします。

「〜の技術」というタイトルから、所謂ハウツー本の元祖として期待してしまうと、本書を面白く読むことは出来ないだろう。40年近く前に書かれた当時、著者が躍起になって取り組んでいた課題の多くは、今やワープロやパソコンの普及によって飛躍的に改善され、大部分解決したり、もしくは新たな発想で取り組む必要が生じたりしている。 <br />しかし、だからといって、本書の価値が無くなったとか、大半の章は読み飛ばしても良いというようなことにはならないと思う。むしろ、そういったページにこそ、本書の隠された魅力があるのではないだろうか。 <br /> <br />物事の本質を見極め、改善や進歩のために思索し、いち早く実践する著者の姿勢そのものが、日常を何気無く暮らしている私たちにとっては刺激的であるだろう。著者の文章は常に平易で明快であるが、物事を一旦原始的な領域まで掘り下げ、そこから急進的とも言える領域まで思索を発展させるとき、もっともイキイキと感じられる。著者がやや照れながら提案するのは、荒唐無稽であるからではなく、テーマの本質を突いているからこそであり、現在となってはそれらがまったく予言的であったということがそのことを証明していると思う。 <br />「技術」とは無個性な規格品に過ぎないと見下されがちだが、それを開拓するプロセスの、なんと知的、創造的、個性的なことか。そういったプロセスから作り上げられた「技術」こそが、次の知性、創造性、個性を生み出すことになるに違いない。 <br /> <br />コンピュータによる情報管理や文書作成、情報工学の登場を予見していたような著者は、果たして本書が30年以上も読まれ続け、このような思索と創造のプロセスこそは普遍的であるということをも予想していたのだろうか。

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