人は語学が苦手な理由に、才能の違いを挙げます。私もそうでした。なぜなら年月を重ねても、なかなか上達しないからです。ところが著者によれば、コツを知って、それを実践することで、才能の差を大きく補うことができます。ではそのコツとは一体何なのでしょうか。
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<br /> 仕事の都合で外国語を一から学び、そして伸び悩んだ私は、著者が言語学の大家で数々の言語をモノにしたことを何も知らずに、偶然本書を手に取りました。本書では、上達のコツ、必要な道具、その理由、この3点が単純明快に、ユーモア溢れる具体例を交えながら、平易で美しい文章で語られます。言語や時代の違いはほとんど関係なく、語学学習における一つの真理を悟ることができます。
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<br /> しかしいくら方法論を学んでも、持続的に実践しなければ意味がありません。元来語学学習が苦手な人は、学習する熱意が冷めることも多々あるでしょう。実は本書には、やる気を引き出し、それを効果的に用いるコツと激励の言葉が散りばめられています。ですから困ったときに本書を手に取ると、語学学習の活力を蘇らせることができます。何度も何度も読む価値のある『外国語上達法』は、全ての外国語学習者の愛読書としてふさわしい本です。
まともなことしか書いてありません。
<br />つまり、著者のような達人でさえ、外国語の上達・攻略には奇策が
<br />ないということであり、数々の外国語を修めていった著者の言葉だけに
<br />それにも重みがあります。
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<br />単語はまず1000を理屈ぬきで丸暗記せよ、というのが私にとっては
<br />いまさらながら心に留まる指摘となりました。
<br />1000というのは多くはありませんが、実際にまっさらな状態から
<br />外国語を覚えようとすると決して少なくない数字です。
<br />その1000語として何を覚えるのかも書かれていますが、
<br />私にとって貴重だったのは、やはり愚直に暗記をする効用が
<br />説かれていたことです。
<br />外国語を母国語のように覚えるとか、効率よくすぐにわかるように
<br />するという流行のスタイルとはまったく異なる、当たり前すぎて、
<br />ある意味では面白みのない方法論ばかりが書かれていますが、
<br />そうであってこそ、勉強が苦しい夜の寝る前に読み返すと、
<br />また明日も勉強しようという気になります。
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<br />私は、まだまだ30代後半ですから、あまり悲観的なことを書くと
<br />年配の方に怒られると思いますが、やはり単語を暗記する、変化を
<br />覚えるというのは、そろそろつらくなってきました。
<br />しかし、この本には、それこそ70歳になっても新しい言語を
<br />覚えた先達の紹介もされていて、そうした事実そのものが
<br />強い励ましにもなります。
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<br />繰り返して読んでいます。
語学を勉強しよう、と思ったとき、
<br />この本があれば迷わなくて済むと思います。
<br />(忘れがちな「当たり前のこと」が書いてある)
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<br />「外国語の学習に必要なのは次の三つ」
<br />「よい教科書、よい教師、よい辞書」
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<br />「覚えなければいけないことは?」
<br />「語彙と文法」
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<br />「上達に必要なのは?」
<br />「お金と時間」
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<br />著者の千野栄一さん(故人)は
<br />かつて東京外国語大学の教授をされていて、
<br />チェコ語がご専門。
<br />カレル・チャペックの『ロボット』、
<br />ミラン・クンデラの『存在の耐えられない軽さ』、
<br />カフカの『アメリカ』を訳されています。