すばらしい本だと思った。
<br />発行から二年で既に13刷されているのは伊達じゃない。
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<br />痴呆という病気を生きる人の心を読み解き、痴呆を抱える人と共に生きるための指針が見えてくる。
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<br />「ぼけても心は生きている」
<br />「ぼけても安心して暮せる社会を」
<br />これが、著者の言いたいことのほとんどすべてなのだそうだが、
<br />この二つの言葉の重さは、
<br />痴呆を抱える人と共に暮した経験を持つ人でないとなかなかわからないのではないだろうかと思う。
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<br />しかし本書を読めば、きっとその経験不足を補うことができるだろう。
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<br />前半での小説を題材にした痴呆の実例の解説には、崇高さすら漂っている。
<br />その崇高さは、ぼけても心は生きているということの証明であると同時に、命の尊さの源泉なのだと思う。
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遠く一人暮らしだった義母が痴呆になり、一年前から我が家で介護しています。
<br />それまで「呆けた」人と接触したことすらなく、何もかもがわからないまま介護が始まり、
<br />図書館に通って「痴呆」「介護」と名のつく本を手当たり次第借りて読みました。
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<br />たくさんの本の中で、唯一、この本だけが役立ちました。
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家族がアルツハイマー型認知症になりました。同居でないため、本人や共に暮すパートナーの思いを想像するのが難しい面もあり、何か理解の助けになる本はないかと探していました。この本はその目的にまさにぴったりの本で、認知症の解説本でありながら、認知症の方の気持ちや共に暮す方の気持ちをくみ取れる内容になっています。身近に認知症の方がいる人に特にお勧めの本だと思います。