ある先生が、「この本はフォークロアですね」、そういっていた。はて?どんな本なんだろうと思い、さっそく買ってみた。
<br />なるほど。たしかにこれは面白い本だ。何も知らない人は特に読んで面白みを感じるはず。専門家にも一応、必読の本だと思う。
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<br />でも、たしかにフォークロアでしかないよね。
共同通信編集委員でありながら、自らの病をきっかけに夜間の鍼灸学校に通い、卒業後は脈診を重視する古典派の研究会に参加してきたという著者が、10年間の鍼灸会との交わりや内部観察をへて、共同通信加盟紙に連載した日本各地の鍼灸師の訪問記総決算。
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<br />行間から活字にならなかった多くの取材が滲み出ていた。「日本鍼灸界のサムライ」たちを、様々な流派、技法、信念を超えて描き出し、古代から現代に受け継がれてきた伝統医療、鍼灸の素晴らしさを教えてくれる。また巻末に掲げられた鍼灸師のリストも有難い。
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<br />自然感覚、宇宙感覚、自然治癒力、タオイズム。生物とはいかに神秘的な存在なのか、我々はまだほんのわずかな知識しか持ち合わせていないのだと思わずにはいられなかった。読んでいるだけで、詰めていた息を吐き出し、穏やかで優しい気持ちになっていく自分を感じた。
数年前、鍼灸の学校を卒業しました。鍼灸師になりました。患者さんをどんどん治すぞ!と張り切っていました。ところが勉強不足、経験不足でなかなか思うように治せない。良くなっても数日限り。必死に本を調べて何とか対応しようとあがく、でも治らない。そんなことが続いていくうちに鍼灸なんてしょせん一部の特別な人たちにしか扱えないものなんだ・・・そして通り一遍の型どおりの治療しかしなくなってました。<br> この本に出会ってほんとに自分が恥ずかしくなりました。自分の勉強不足をさしおいて何をわかった風に諦めていたのか・・そしてこのままじゃいけない!と血が沸き立ちました。<br> 今、学校時代にしなかったほど勉強しています。<br> この本は一般の方も大変面白く読めると思いますが、私は鍼灸の学校の学生さんや、マンネリで流すだけの治療をされている鍼灸師さんにぜひおすすめしたいです。