ここ数年、世間も大きく変化したけれど、着実に自分の会社が変化していることを感じている人も少なくないのでは、と思う。「上場」自体がブームのようになって、いざ「上場」してみるとそれまでの日本的な会社風土を犠牲にして、株主と株価(世間体)だけを気にするようになる・・・。
<br />この本は、こういう「ここ最近のどうも変だなという感じ」をわかりやすく整理して示してくれる。あーそうだよね、そうそう的な感じでとても共感を持って読み進めることができる。だから、モヤモヤの解消には非常に効果的。
<br />ただ、その解決策がスッキリと出てきていない気がするんだよね。どうも読み終わっても、結局「変わらないのかなあ」というあきらめが・・・。
コーポレート・ガバンナンスという感覚的にどうしてもなじめない言葉や概念がどうして企業社会と資本市場そして会計業界を席巻したのか、さまざまの文献や実務に触れてきましたが、本書を読んではじめて膝を打ちました。
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<br /> 渦中にいると「国際化」、「透明性」、「効率」、「企業価値」というようなマジックワードのコップの置かれたテーブルの下が見えなくなってしまいますが、このお年寄り(失礼)には見えるのですね。
数年前「会社はだれのためにあるのか」というのは良い質問だった。しかし今問うべきことは「誰のための会社にするか」だ。正しい質問を正しいタイミングでするにはしっかりとした積み重ねが必要だが、日本の会社ウオッチャーである筆者はこの正しい質問を投げかけ、かつ説得力のある答えを本書で提示している。
<br />コーポレート・ガバナンスとは株主による企業統治だという哲学の下その制度化が「問答無用」で進む日本。トップはCSR経営やステークホルダー重視ということを口先では言っているが、筆者は言行一致していないと厳しく指摘する。
<br />企業の経営改革は必要だが最近会社が面白くなくなってきたと思っているあなた。「アメリカ出羽の守」に対置する確たるアイデアを欠いている私たち。満員電車で「日本経済新聞」を読んでいる・或いはポッドキャストで聴いているあなた。本書はそんなあなたや私たちが今読むべき本です。
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