現役児童福祉司(京都府宇治児童相談所)による児童虐待の現状について書かれた絶好の書。
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<br />児童虐待問題は児童にとどまらず家庭全体の問題であることが往々にしてあり、その解決がない限り児童虐待の解決とは言えません。また、家族の分離と再統合という、相反する役割を児童相談所というひとつの機関が担わされている現状は、とくに再統合について児童相談所が行なうことを困難にしています。また、現状では児童相談所の強権が行政の判断のみで行使できてしまい、私権の保護のあり方として適当ではありません。そうした現状を踏まえた上で解決策として児童相談職員の大幅な増員と司法の介入を著者は提言しています。
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<br />明快な論理で現状と解決策までが展望できました。
この本を読んで、日本の福祉の貧しさを知りました。幼い子どもたちや幼い子どもたちを大変な思いで育てている家庭を無視して発展してきたのが日本の実情ですよね。
<br />でも、この本が出されて起きてしまった、同じ京都の児童相談所の著者が、3歳児の虐待事件をどう考えるか是非とも次の本で読みたいと思いました。
児童相談所の現場のプロが書いた本。現場で苦しむ子供、虐待する親、関係者の姿が生々しく描写されている。「桁違い」にお粗末な日本の支援体制も。百のニュースよりこの本を読んだ方がよい。