紅茶に砂糖を入れるという習慣が、世界の富を集めえたイギリスの富裕階級だからこそ可能だった「破天荒なこと」だということをこの本で知った.その砂糖は、カリブ海の植民地に設けられた広大なプランテーションで、アフリカからだまされて奴隷船にぎゅう詰めにされて運ばれてきた数十万人の若者たちの労苦と犠牲の上に生産されたものであることも.イギリスから独立した米国では紅茶に代わって中南米でとれるコーヒーが広まったこと、それが今のコカコーラにまでつながっていることや、チョコレートが万能薬と考えられ、カトリックの枢機卿が断食の最中でも飲んでよいと許可したことなども興味深い.
<br /> 題名のとおり世界の歴史に砂糖という嗜好品がこんなにも影響を及ぼしたのかと驚く.ジュニア新書の1冊だが、視点が広く、文章は分かりやすく、大人が読んでもとても面白い.あえて注文をつければ、砂糖キビ由来の砂糖の話が中心で、テンサイ(ビート)からとる砂糖の発展の歴史にほとんどふれていないのが残念.
本の裏表紙にもあるように「世界史Aを学ぶ人は必読」です。教科書の叙述とは異なり、砂糖を軸にして世界史を眺めることによって、頭のなかでごちゃごちゃになった世界史を整理することができます。きちんと整理できていないとセンター試験でも点数は取れないですもんね!ジュニア版なので字も大きく、気負わずに読むことができます。ちなみに私は、日本史を選択していたのに、西洋史関係の大学、そして大学院へ進んでしまいました・・・ですから、頭を整理するというよりは知識を入れるために読みました。「超」お勧めです。
砂糖を通して世界史を語る試み。<br> なかなか切れ味が良く、大航海時代以来の500年ばかりを、さっと概観できている。とりわけイギリスの歴史を相当叙述できているのは感心してしまう。<p> 地球の端と端からもたらされた中国のお茶とカリブ海の砂糖とが、上流階級の流行になる。そうした世界の文物を手に入れられるイギリスの立場、貴族を真似たがる国民性が語られる。<p> さらに砂糖入り飲料を飲ませるコーヒーハウスからは、王立協会の科学革命が生まれ、新聞が発展し、ロイズなど保険業が育ち、南海会社のバブルがはじけ、政党までが体を成すに至る。まことに砂糖は17-18世紀のイギリスを舞台の下で回していた影の主役であったらしい。<p> 植民地としてのカリブ諸島、利益のあがる商品としての砂糖、この二つの重要性は、思ったよりも重視しないといかんなーと改めて感じた。