様々な勉強法の本が存在する中で、この本は認知心理学の専門家である著者が、学校における勉強の意味やあり方は心理学的に考えるとどうなるかということについて、ひとつの答えを提示したものである。
<br />この本は勉強に悩む中高生に向けて書かれているが、第1章「学習観を見直す」において、学校教育が見落としてきた、あるいは誤解してきた「学習観」を浮き彫りにしてくれる。「学習観を見直す」作業は、生徒だけに強いるのではなく、学校や教育関係者にこそ求められるべきものであると思う。
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<br />軟調な語り口で書かれており、読者に堅苦しさを感じさせない配慮がなされてはいるが、結局こういう本を読む人は勉強家の優等生なのだろう。本当に必要とされる人たちには読まれないんだろうな。
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本書は心理学の観点から合理的な勉強法を考察するものである。
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<br />本書には3つの側面がある。
<br />1高校生に合理的な勉強法を提示する。
<br />2すべての人に「学ぶ」ことの正体を提示する。
<br />3心理学入門
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<br />まず、1についてだが、本書は「ジュニア」をターゲットとした新書なので、そのニーズに適うように英単語や年号、漢字の記憶法、数学問題へのアプローチの仕方、小論文の作り方などをざっと説明する。中高生(特に高校生)が普段の学習の上で心がけるポイントを提示している。
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<br />しかし、本書のメインテーマはなんと言っても2であろう。高校生の学習内容を素材としているが、そこから「学ぶ」ということを一般化している。すなわち、本書は「記憶する」「理解する」「問題を解く」「文章を書く」という構成をとっている。これはすべての人が物事を学びとり、また、さらに深い学習にいたるために要求される主要な能力であろう。記憶力、理解力、問題解決能力、文章作成能力といった社会で要求される能力を、どのようにすれば合理的に育成できるのかを心理学に則って考察しているのである。
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<br />そして本書は3心理学の入門書であるともいえる。著者はこの本全体が「学習観」を見つめなおすための材料であるとしている。「学習観」とは「学習とはどんな仕組みで起こるのか」「どのような勉強をするとよいのか」という学習に対する考え方のことだそうだ。そして学習のしくみを科学的に研究するのは心理学の役割の1つだとしている。心理学を通して自分の勉強法を見直すことで、心理学に対する興味も生じるに違いない。
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<br />1冊の中に3つの味。お得である。
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内容はページ数ほど多くは無いですが、心理学に基づき具体的に書かれており納得させられる本です。他の本でも分かりやすい本がありますが、確かに内容の理解はできて身になります。しかし例え心理学などに基づいていても自分の納得できないことは信用できないことがよくあります。僕は今まで理解すればそれでよいと思ってましたが、この本のように実例が多いと実感が得られると深く身について新たな感覚が生まれます。知識というのは実践できることに意味があると思うので、価値のある本だと思います。