安保徹氏の著作「ガンは自分で治せる」に引用があったので手にとって見た。
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<br />笑いとビタミンCの大量投与で難病を克服した、という民間療法系の体験談だが、著者のノーマン・カズンズ氏が著名なジャーナリストであったことから、発表当時は大きな反響を巻き起こした。(初出は1979年)
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<br />笑うことがストレスを緩和し、免疫系のバランスを回復して、人体の自然治癒力を活性化させるという論旨で、細部のメカニズムは異なるものの、安保説の補強材料となっている。
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<br />実際にビタミンCの大量投与や笑いが膠原病に効くのかどうかは別にして、著者の病気に対する態度は大変参考になる。日本では「病気のことはお医者さんにまかせておけばよい」という態度が普遍的だが、著者の態度はどこまでも「自分の病気は自分のもの」である。
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<br />みずから治療法をしらべ、医者を「治療のパートナー」として、専門家としての意見を聞きながら、自分で治療方法を選択していく。もちろん、アメリカであっても、この手の「治療に口を出す」患者を快く受け入れてくれる医者ばかりではない。また、普通の患者なら、専門家を差し置いて治療に口を出すなど、恐れ多くてとてもできない。医療は高度に専門化された技術分野だから当然である。
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<br />しかし、ここが難しいところだが、ある治療法が「人間一般」に有効だとしても、「私というひとりの人間」に有効とは限らない。個々の人間には個々の事情があって、ひとりとして同じ個体はない。人間一般に効く、というのは確率論に過ぎないのである。医学も科学であるかぎり、確率論であることには変わりはない。
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<br />そういう意味で、病気の治療はある種の賭けを必ず含んでいる。著者の自分の病気に対する姿勢は、同じ賭けなら人に任せず自分で賭ける、ということに尽きる。その点に感銘を受けた。
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この本のタイトルを見た人は、やっぱり笑いが病気には1番だよね。という勝手な解釈を抱きますが実はそうではないことを著者は述べています。笑っていれば病気が治るなんて無責任な発言はこの本にはありません。では病からの治療にもっとも必要なものはなんでしょう?この本に書いてあります。<br>ノーマンカズンズ氏は強直性脊椎炎という難病の自己免疫疾患にかかりましたが、これは自分の免疫が強くなりすぎた状態というよりも、免疫バランスを調節する様々な分子スイッチの誤動作によるもの(原因は先天的、後天的要因があるだろう)と僕は考えています。そもそも免疫の強化とは、単に抗体の濃度を高めるものではなく、免疫細胞の正常化とともに、このスイッチの誤動作を改善するものだと考えると、膠原病は治ってもおかしくないと言えると思います。カズンズ氏が行ったビタミンC大量(30000mgぐらい!!)静脈注射療法にも興味があるかたも是非よんでみてください。
当初は『死の淵からの生還』というタイトルで発刊されたと思いますが、この書籍を読んだ時から大変失礼ながら、ノーマン・カズンズ氏は本当に膠原病であったのかと疑問を持っていました。<br>何故なら、膠原病は自己免疫疾患であり、通常はステロイドを使用して治療を行いますが、重症なケースは免疫抑制剤を併用して治療をするのが一般的だからです。<br>通常の病気なら、笑いによって治癒力を高めることは非常に効果的だと思いますが、上記の観点から彼が本当に膠原病だとしたら逆効果だという思いを払拭できずにいます。どなたか適切な回答をお願い致します。