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表現のための実践ロイヤル英文法 ( 綿貫 陽 マーク ピーターセン Mark Petersen )

基本的に、中級(高3)以上の読者向けで、『ロイヤル英文法』より、用例が実践的で読みやすい。説明も謙虚で明快。英文法軽視のこの時代にあって、旺文社の意気込みに感謝します。

<br /> <br />私にとっての唯一無二の文法書は総解英文法(高梨先生、美誠社)オンリーなのだが、 <br />最近はフォーレスト(石黒先生、桐原)という読みやすいのが出て、社会人をも含めた <br />ベストセラーになっているという。セールスポイントは、字が大きくて目が疲れにくい事で、 <br />これからの参考書は体に優しい、ヒューマンフレンドリーな媒体しか生き残れないだろ <br />うと予感させる。 <br /> <br />さて本書、かような流れをきっちり汲んでいる。 <br />中身は、英文法のおさらい書、兼英作文ストラテジー。 <br />一粒で二度おいしいサービスパックであります。 <br /> <br />何よりも通読可能であることがうれしい。 <br />通常の文法解説書の並びをアレンジし直して、文の骨格をどう <br />組むのかを披露していく、というスタイル。高校生、否、私立 <br />中学3年生から使える本。 <br />随所の外人先生のヒントコラムも解かりやすい(但し、オチは <br />もうひとつ)。 <br /> <br />一方、他のレビュアーもご指摘のとおり、例文が少ない印象は確か <br />にある。通読を優先させたがゆえの最大の欠点である。 <br />しかし、犠牲になった網羅性を云々しだすとキリがないうえ、 <br />分厚い和英や、表現辞典を調べても欲しい見出しが得られたためしが <br />ろくにない事を考えると、本書の実用性には一定の評価がなされて良 <br />いと思われる。 <br /> <br /> <br />名前の似た本にロイヤル英文法とゆうのも並んでいるが、 <br />とにかくお願い、字のちっちゃい本は堪忍してぇーー。 <br /> <br />

巻頭の「本書の構成」に「章の配列は、とりつきやすいように従来の英文法書の項目と同じようにしてある」とある。つまり文法シラバスに則って文法を教え、「表現」は2の次なのだ。表現のためと言うなら A Communicative Grammar of English のように「言いたいこと」を基準に文法項目を横断した構成にしても良さそうなものだ。文法シラバスでは言いたいことを表現するのに必要な情報を効率よく学んだり探したりすることはまず不可能だ。 <br /> <br />文法シラバスによる参考書としても優れているとは思えない。必要な事項を精選したとあるが、文法用語は全く精選されておらず、不必要な用語も遠慮なく出てくる。まるで用語を使うために説明があるかのように見えるところも少なくない。しかもその用語は日本で従来使われているものを踏襲したため矛盾含みだ。現在分詞と動名詞を別物として扱うのには土台無理があるし、仮定法現在は仮定法原形と呼ぶ方が実情に合うし、主部と主語の区別は主要部として名詞を持たない主部には適用できない。句の分類を名詞句・形容詞句・副詞句とするのは各品詞が典型的に文中で果たす役割に着目したものだが、文の組み立てのためには主要部の品詞による分類や意味役割による分類も必要なはず。他にも挙げればきりがないが、結局本書は従来型の文法書の域を脱していない。 <br /> <br />英語を使うために文法が不可欠なのは当然のことだが、タイトルにも拘わらず、それを、「言いたいことの表現」に結びつける工夫が見られないのが残念である。

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