およそ20年ほど前までは地図にも載らないくらい寂れた温泉だったという黒川温泉。しかし今や人気ナンバーワンを誇る温泉となった。
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<br /> 由布院や別府など、近くに有力温泉が多数あるなかで、絶大な支持を受けている理由は何か。「山の宿新明館」と「山みず木」の2軒の旅館を経営する後藤哲也氏が明らかにする。
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<br /> 雄大な景色や派手な名物があるわけではない。そこにあるのは旅人を優しく包んでくれる山里の風景、それと調和した旅館やお風呂、もてなしの心である。
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<br /> 「山みず木」は木立の間の一本道をずいぶん登った先の一軒宿。その露天風呂は渓谷の岩場と一体となっており、人間も自然の一部であるということが実感できる最高級の温泉である。
黒川温泉の街をあげての温泉地作りは余りにも有名。
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<br />その裏に後藤氏の大改革があったことを知る人はほとんどいないですね。私も当然知りませんでした。
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<br />本書に出会えて本当に良かったと思います。
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<br />自らの温泉のことを考えるのではなく、黒川全体を考えた街づくり。
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<br />全国の素晴らしい観光地を見尽くして、いきついた後藤氏の古里哲学は本当に素晴らしいです。黒川温泉の現在の飛躍振りがよく納得できました。
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<br />温泉に興味のある人にとどまらず、幅広く全ての人にお勧めしたい一冊です。
本書は後藤哲也氏の生き様である。黒川温泉を変えたい一心で、若い頃から父親とけんかし、黒川温泉協会との固執を乗り越え、人生の完成を今実現させている。<br> 同じ人間として、氏の人としての理想形を実現した現在を心よりお祝いします。黒川のため、黒川温泉のため、ひたすら忍耐、忍耐、忍耐を実践した氏の生き様に私は若輩者として、師に学ぶ点が大きい。素晴らしい一冊である。