本書を初めて読んだのは高校生のときでした。
<br />社会人になった今でも、読み返すと旅に憧れた日々を思い出します。
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<br />「よし、お盆に有給ぶつけて、ちょっとでも長い旅に出ようか」
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<br />そんな気持ちにさせてくれる一冊です。
12万円で世界なんてと思っていたら本当に行っていた。微妙に予算をオーバーしちゃったりするのがいい。語り口調も気取った感じが無く、妙な感傷に浸るでもなく、いきなりザックリ旅の途中から文章が始まるところなんかもすごくいい。いったいこの人はなんでこんな仕事を受けてしまったのか不思議に思わせるが可哀相とは感じさせず、僕を見知らぬ国境付近まで連れて行ってくれる。過酷な旅なのに文体が柔らかいのが凄く面白く読みやすい。
<br />時代は流れたので旅行代金の参考にはならないところが多いけれど、マゾ的世界旅行が趣味の人にはたまらない一冊だ。
深夜特急にはまり、それからというもの旅に関する本を読み漁っていた。
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<br />この本は何よりタイトルが衝撃的だった。
<br />本当に12万で世界一周できるのだろうか?
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<br />実際には世界一周のほかに特定の地域に絞っての旅行記が数パターン載せられている。
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<br />旅の内容を見て、これは80年代の「電波少年」だと思った。
<br />ただ企画の内容は電波少年よりも過酷だと感じた。
<br />映像に残さなかったのが残念である。
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<br />個人的に好きなのは、「28日間世界一周」である。
<br />シベリア鉄道がいかに過酷か、というのが非常に生々しかった
<br />と同時に実際に自分も体験してみたくもなった。(いつになるかは分からないが・・・)
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<br />深夜特急がやや硬い語り口になっているのに比べ、この本は砕けた感じの文調になっている。
<br />その点が、この本の良さであり、面白おかしく、ならぬ、面白生々しく読むことができるのではないだろうか。