笑い、泣かせ、人情溢れる浅田さんの大ファンだが、その中でも本書は抜群。
<br />まさに浅田ワールド!!
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<br />死後どんな世界が待っているのか?そんな疑問を解決!
<br />はしてくれないが死の不安が拭い去られる事は間違いない。
<br />中盤まで笑い、ラストは泣き。そして一息つき、心が洗われた気分になる。
<br />目の前の悩みが小さな事に思えるようになる。また生き方についても考えさせられる。
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<br /> 私事だが、身近に日々死と向きあって過ごしている人がいる。
<br />本書を紹介してくれた人だが、一時は生きる気力を失くしていたが
<br />本書を読んでから心が軽くなった様子。
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<br />とにかく、笑って笑って、泣いた!
浅田次郎というと,「笑わせて,泣かせて」というプロ意識が徹底した作家である。作家の仕掛けたツボに見事に嵌って,ボロボロと泣かされることも少なくないが,プロ意識が強烈過ぎて時として鼻に付く作品もある。
<br /> そんな中で,私が好きな作品は,「地下鉄に乗って」と,「角筈にて」(「鉄道員」収録)。大切な何かが欠けているという喪失感が何とも哀しい。だから,この「椿山課長の七日間」は大好きである。ちなみに,文庫版の解説を書いている北上次郎も,上記2作品を特に取り上げて,「いちばん好きな長編」「いちばん好きな短篇」と書いていた。全く同感である。
<br /> 上記2作品のいずれかを読んで泣いた経験のある方であれば,本作品も素直に泣けるはずである。強く一読をお勧めしたい。
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とにかく面白いです。一気に読んでしまいました。
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<br />死者が現世に戻ってきて、活躍する小説はいろいろありますし、実際、名作と言われる作品も多くあります。
<br />この浅田作品は、その中でも一種独特の雰囲気を持っています。「おばQ」を思い出してしまう「よみがえりキット」。必要な時に、必要なものが出てくるという超優れものの小道具が登場します。それを筆頭に、コミカルな道具、動き、展開は、浅田作品ならではです。
<br />でも、コミカルさにかまけていると本質を見落としてしまうかも知れません。この物語では、3人が現世に戻るのですが、一見、全く違う理由で戻るように見えます。でも、物語が進むに連れて、その共通点が見えてきます。
<br />それは「家族」ということでしょう。幼くして別れた父母に対する謝礼と挨拶、擬似家族とも言うべきヤクザの親分子分、そして、血の繋がりのない父と子。それらは、すべて形は違うけれど「家族」の問題でしょう。これらの歪な「家族」に対する考え方をコミカルさの中にきちんと書き上げています。その意味では、「家族」に対する賛歌の小説と言えるのかも知れません。