必読だと思う。
<br />「流されないためには、どうすればいいのですか?」という質問に対しての答えが、レビューのタイトルである。
<br />自分の過去現在未来を見つめたくなる本。
正直言って、著者の最近のエッセー・小説よりおもしろかった。一般人(ほとんどが、著者のファンでしょうが)からのあらゆる質問に丁寧に答えています。なかには、そんなこと訊くなよ、という質問にも真摯に答えています。春樹の応答には、つくづく感心してしまいました。なんて、奥の深い人なんでしょう。応答の内容に一貫して感じるのは、上品なユーモアが介在していることでしょうか。禅の応答のようにも思えます。村上春樹の人間性がよくわかり、彼の小説を読み解く上でも、すごく参考になりました。これだけの内容でとにかく安い。
今(2006年)から5年以上前、村上春樹がホームページを開設していたそうだ。
<br /> そこに寄せられた質問への村上春樹の回答を1冊の本にまとめたのが本書だ。
<br /> 質問の内容は、「不倫に関して...」という恋愛相談や、「ノルウェイの森の装丁の意図は?」という村上作品への質問から、「チャオって何語でどういう意味ですか?」という、どうでもいい質問まで多岐にわたっており、答えもまた、真剣に丁寧に答えたもの、ちょっと茶化したようなシャレの回答などバラエティに富んでいる。
<br /> 「うむ」と唸る回答、「クスリ」と笑える回答、最後まで飽きません。
<br />
<br /> 村上春樹はメディアへの露出が少なく、本人のキャラクターがイメージしにくい謎多き作者である。そんな村上春樹でも、読者とのやり取りをまとめたこの本を読めば、人物像の一端が垣間見れるかと思えば、そうではなかった。
<br /> 質問の回答の小さな文章も、村上流のおしゃれな文体でまとめられており、小さな村上作品になっているのだ。結局のところ、この本ですらもどこかフィクションめいており、村上春樹のキャラクターは今一つつかめなかった。よほど、シャイな方なのだろうか?
<br />
<br /> 村上春樹好きはもちろん、そうじゃない人も、また「村上春樹の小説は好きだけど、エッセイは今一つ」という方にも楽しめる一冊だ。