サラリーマン家庭の主婦で、タイトルにつられ読みました。タイトルのわりに内容は普通というかんじ。生命保険の見直しや住宅ローン、運用などについて考える入門編としてはいいのではないでしょうか。
<br />
<br />
最近、こういう「タイトル・インパクト勝負の本」増えましたね〜。「バカの壁」が出たあたりからでしょうか?やはり「内容が無いよう本」の真打ち「頭の良い人・悪い人シリーズ」の頃からか?
<br />
<br />本書も、「サラリーマンのマネー・ライフプラン」では面白くも何ともないので、編集者サンが企画会議で「やっぱり<破産>でいきましょう!」なんて力説したんだろうな〜と勘繰ってしまうくらい中身はごくごく普通のマネー本です。
<br />
<br />「住宅ローンの組み方」「保険の見直し」「運用」など、巷に溢れるファイナンシャル・プラン本と何ら変わりありません。薄くてサラリと読めるのでとっつきやすいが、(特に投資の項目は)けっこう簡略化して書いているので実行に移すにはもう少しつっこんで書いている本が良いように思います。あくまで問題意識喚起のための本、ですね。
<br />
<br />それにしても、人の不安を徒に煽るようなこういうタイトルは本を売るためとわかってはいても、目新しくない内容と相俟って、ちょっと「浮いてる」という印象です。
本書は日本の一般的な給与所得者の家計分析を多数手掛けて
<br />きた著者による、実践的な家計改善のためのアドバイスである。
<br />
<br />「おカネのたまる家計」と「そうでない家計」の違いについてずばりと
<br />切り込み、「そうでない家計」が危機を乗り切るため無駄な支出を
<br />カットできるような具体的な戦術について親切に書かれている。
<br />
<br />まずは収入や家族構成、ライフスタイルに応じて自分の将来の
<br />キャッシュフローについて具体的に把握する。生命保険や住宅
<br />ローンといった、高額商品かつ業者の儲けが非常に大きいものに
<br />ついては十分な検討を行って本当に必要な場合だけ使う。一方で、
<br />理念のない単なる倹約生活で惨めな思いを味わうべきではない。
<br />
<br />このように、正しい視点に基づいて家計の改善方法について書かれて
<br />いるので、給与所得者に限らず誰もが一度は読んでおいて損のない
<br />本になっていると思う。株や外国為替で短期的に一攫千金、といった
<br />デタラメなことを考える前に、自分のキャッシュフローを冷徹に把握して、
<br />将来どれくらいのリスクを取ることが可能かまずよく知っておくべきなのである。
<br />資産運用は家計の管理もできない人が行うべきではない。その意味で、
<br />本書の章立て(資産運用が最後に出てくる)は大変理にかなっている。
<br />
<br />一方、個人投資家の視点で、「資産運用」の章に関して気になった点を挙げておく。
<br />
<br />外国為替や商品先物取引が「ハイリスクハイリターン」商品として分類されて
<br />いるがこれは正しい記述ではない。債券や株式のような「投資」の商品ではなく、
<br />ゼロサムゲームである「投機」の商品では、市場参加者全体で見た場合は
<br />リスクはあってもゼロリターンの構造になっている。紙数の関係で本書では
<br />十分な解説ができなかったのかもしれないが、この点だけは明らかな誤りで
<br />あるから、運用に明るくない読者は注意されたい。
<br />
<br />ともあれ、非常に内容のある良心的な本だと思う。評者は「家計管理入門」の
<br />決定版的書物として、この本に満点をつけます。