小学生のとき初めてこの本を図書室で読み、大泣きしました。<br>大人になる前に栄養失調で亡くなってしまった弟の唯一の食物、ミルク<br>を飲んでしまった著者は弟にどうやって償えばいいのでしょうか
はじめてこの本に出会ったのは<br>中学2年の国語の教科書でした。<br>クラスで段落ごとに、一人ずつ声に出して<br>読んでいました。<br>物語が先にすすめばすすむほど<br>涙がこぼれ落ちてきて、その姿を人に見られないように<br>また、先生に読むよう指されないように<br>顔を下にうつむきながら読みました。<p>悪いと知りながら、弟のミルクを「僕」が飲んでしまったこと。<br>栄養失調で弟が死に、柩に入れるとき、<br>弟の体は柩よりも大きく、体を折り曲げなければ<br>入れることができなかった。<br>その時はじめて、母が弟のことを<br>「大きくなっていたんだね」と言った。<p>私にも弟がいるので、弟が死ぬことを考えると恐ろしかった。<br>主人公の「僕」も、弟に食べ物あげたかったのに、辛いね。<br>人の命を奪う戦争はなんて憎いんだ。
親も子も戦争を体験していない私たちには、あんまり戦争の怖さを実感することがありません。ニュースでの戦争の場面も子供たちにとっては、映画の1シーンのように感じていることでしょう。たまたま図書館でこの本を手に取り、子供に読ませようと思って読み始めたのですが、図書館で嗚咽を漏らすほど悲しく、深く心を揺さぶられました。絵本で、文章も短く平易で、子供向けなのかも知れませんが、大人もぜひ読んでみてほしいです。戦時中に乳児だった弟の配給のミルクを盗み飲みし、その後その弟が栄養失調でなくなるというお話です。弟が亡くなったとき、それまで涙を見せなかった母親が、準備した棺おけに体を折らないと入れられないことを知って、初めて泣いたという下りで同じ母親として悲しくて悲しくていられませんでした。年中の長男も大泣きした作品です。