まさしく「絵」本である。
<br />誰もが耳にした事のあるお話でありながら
<br />新たな息吹を吹き込まれた傑作である。
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<br />黒井健の絵は、物語場面の再現ではなく
<br />物語の底に流れる感情を具体化しているのではないか?
<br />そのぬくもりが、手に伝わってくる気がする。
内容は、小さい頃から知っているものです。 この本の凄いところは、同じ題名の本が色々と出版されているのに、どの本よりも挿絵が綺麗なところです。 やわらかくて、暖かみのある挿絵が物語を一層引き立てます。 お母さん狐が、子狐の手を握っている所なんか秀逸です。今は世知辛い世の中で、いやな事柄が多すぎます。 ゆとり教育とは、この様な素敵な本を読ませる事によって他人を思いやり、いたわる心を育む事ではないでしょうか? 名作は、色褪せないものです。 この本は、私の心に中に素敵なモノを残してくれました。
「ごんぎつね」のような胸をえぐられるような結末でないこの物語に、好評な黒井健さんのやわらかい絵が暖かく、大判ならではの絵の良さもある、価値ある一冊だと思います。
<br />新美南吉の「ことば」の一つ一つが、絵によってより一層胸にしみこむようです。
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<br />「帽子屋さん、掴まえやしなかったもの。ちゃんとこんないい暖かい手袋くれたもの。」といって手袋のはまった両手をパンパンやって見せる子狐の無邪気な姿は、あきれてつぶやく母狐の言葉と、一緒に歩いている月夜の蒼白い雪の人間のいない狐の森の絵によって、より一層無邪気に愛らしく響き、なぜか涙を誘います。
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