2001年にJTBから出た『七つの廃線跡』の文庫化。もともとは『鉄道廃線跡を歩く』(JTB,1995-99年)という廃線ばかりを特集した本の第一集~第七集に、巻頭エッセイとして載せられたもの。<br> 7編のエッセイではあるが、夕張鉄道、下津井鉄道、琴平参宮鉄道、南薩鉄道、奥羽本線旧線、南大東島・砂糖鉄道、上山田線、漆生線、油須原線、北陸本線旧線と10の路線が取り上げられている。<br> 廃線跡をたどるといっても、保存状況はさまざまである。サイクリング・コースとして整備されたところもあれば、藪をかき分けて進まなければならないところもある。それは周囲の人々や自治体が鉄道にどれだけの愛着を持っているかということと関係している。実際に地元の人たちに話を聞くシーンもあり、場所による温度差が興味深かかった。<br> 夕張鉄道や下津井鉄道が廃止されたのは比較的近年のことであり、宮脇氏が乗ったことのあるものも少なくない。それらの路線が健在だった頃の乗車記と読み比べてみても面白いだろう。
角川からの宮脇作品はこのパターンが多いので気をつけるべきだったか……<p>上記目次を見て「あれ?」と思った方、アナタは正しい。これはJTBの『鉄道廃線跡を歩く』シリーズⅠ~Ⅶの各巻の冒頭に載った、宮脇俊三氏とJTB編集部による旅行記を1冊にまとめたものなのでした。しかも一回単行本「7つの廃線跡」としてJTBから出版されたものの文庫化。<p>文章は多少いじってあるみたいですが、写真は皆無(図版少々)、JTBの『鉄道廃線跡を歩く』揃えてるような方は「『失われた鉄道を求めて』の続編か?」などと私のように間違って買わないように(笑)。
廃線跡紀行の選りすぐり。<br>鉄道路線跡なんて・・・って思う人もいるでしょうけど、<br>映画「スタンド・バイ・ミー」でも邦画「少年時代」でも<br>鉄道は重要な(?)ファクターを持っています。<br>懐古的かもしれませんが、<br>昔、線路の上を、平均台を渡るように歩いた思い出ありませんか?<br>線路のずっと遠くが陽炎でゆれている風景。<p>そんなことを、ふと思い出させてくれる一冊です。