現代のフェノロサと岡倉天心である、「みうらじゅん」と「いとうせいこう」の二人の見仏の旅の第三弾。他の方のレビューでも書かれているが、最後のインドでの寝仏を見るみうらじゅんの仕草は感動できるし、いとうせいこうとみうらじゅんの仏友同士の息の合い方も面白い。僕は、みうらじゅんの絵も好き。
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シリーズ第3巻目。今度は韓国、タイ、中国、インドと日本への仏教伝来ルートを辿って見仏コンビがアジアに進出し、今まで国内で展開していた地域性分析をそのまま各国で披露したりしています。宗教の「信者」っていうものは教えなどをありのままとして妄信的に受け入れるのに対して、彼らのような「ファン」は良い所と悪い所を吟味しながらも、やはり「好きだから」ということで対象を受け入れる。そんな意味で彼らは最高の「仏」ファンかもしれないなと確信しました。最後のみうらじゅんのおじいちゃんの話は、なぜかじーんときましたね。
見仏、なんて私にはさっぱり縁のないこと。と、きめてかかっている人もいるのではないだろうか。でもやっぱりそこは日本人(東アジア人というべきか)、京都や奈良、はたまた近所のお寺の仏像になんとなく、なつかしさや慈愛、もっと簡単にいってしまえば『なんかいいよなー』と思うこともしばしばでは?そんな超普通レベルの仏像ファンすら、たのしくよめちゃう最高の旅行記がこれ。まるでその国にいるような錯覚を起こさせる、いとう氏の巧みな文と、そのなかのまたまた巧みなみうら氏のコメントがいい。アジア世界をちらりとのぞき、まなべる。でもやっぱりそれ以上に、このストレートのオッサン二人のとろけるように熱く甘い友情に心奪われてしまうのだ。