中巻ではなかなかグロテスクなシーンに悪夢まで見てしまった入り込みでしたが、
<br />下巻で一気にすっきりします。
<br />カメルレンゴがメディアを使って世界に語りかける「宗教と科学」のテーマ演説はなかなか読みどころで、
<br />教会の現在における存在意義や、特に現代人にとって信仰とはどのような意味を持つかなど、
<br />考えさせられる場面がパワフルに伝わってきます。
<br />ダヴィンチコードよりも秀逸と感じた点は、解説で訳者も記している通り、
<br />展開とテーマがワンパターンで終わらなかった点に尽きます。
<br />これは、登場人物の個性、舞台となる場面の多さがこちらの作品の方が豊かな上、
<br />「宗教と科学」という中世からの対立要素をどちらの立場からも、
<br />深く抉り取ろうとした所産であったのではないかと思います。
<br />確かに映画化するなら、場面展開としても、殺人シーンのインパクトからしても、
<br />こちらの方がうけるんじゃないかとは思います。
『ダ・ヴィンチコード』同様、読み始めるとぐいぐい読めてしまいますね。
<br />扱うテーマは壮大で重いものの、
<br />ストーリー展開の軽さはシドニー・シェルダン並みっていうところも変わらず。
<br />
<br />エンターテインメント小説としてはとても面白いのですが
<br />歴史や美術の造詣を深めたいという人には物足りないかも。
<br />
<br />ラングドンがビニールシート1枚でヘリコプターから落下するシーンは
<br />忍者ハットリくんが唐草模様の風呂敷で空を飛ぶ姿とオーバーラップ。。。。
<br />ありえない!
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<br />でも読ませちゃうからすごいんだよなあ。
<br />
ほとんどの謎が明らかになり,胸のすく下巻。何となく余韻を残した「ダ・ヴィンチ・コード」とは読後の爽やか感が違った。いずれにせよ面白い。同じ映画化されるなら,アクション性の高いこちらの方が圧倒的優位に立つのでは。
<br /> もしローマ,ヴァチカンでのロケが可能なら,本当に楽しみな作品になる。この際,ロバート・ラングドン=トム・ハンクスという配役にこだわらず,全く新しい価値観で創り上げてほしい。キーパースンのカメルレンゴには,ジュード・ロウが適役ではないか・・・等と空想は飛躍する。
<br /> 「映像で読める」というと語弊があるだろうか。活字ということを忘れ,一気に読めたのは今回も同じだ。