「葉」は、「世」「代」の意味で、古今の多くの時代の歌を集め、万代までも伝われとの祝意をこめたとする説、万葉は多くの歌の例えで、多くの歌の集を意味するという説があります。
<br /> 一貫した分類はなく、基本的には、雑歌(いろいろな歌)・相聞歌(恋歌)・挽歌(人の死を悲しむ歌)の3つに分けられます。あと、比喩歌、東歌、防人歌もあります。(タイトルのが防人歌です)
<br /> 作者は天皇から庶民まで幅広くあります。地域も大和から九州まで全国。450年に渡って作歌されています。
<br /> 天武・持統朝以後、律令制の樹立に伴い法典・史書・地誌の整備集成が進められます。「万葉集」もその一つ。大陸文化の影響で、文字意識に目覚めた知識人たちが、口承時代の歌謡を母体に和歌の創作を試み、それを集大成したのが「万葉集」です。
<br />創作としての和歌が形式的にも内容的にも完成した最初の撰集ということができます。
<br /> 私の父も大変好んで詠んでいました・・・
千数百年前の日本人の心情が迫ってきた。
<br />特に、恋心、亡き人への想い、悲しみなどは、痛切であるが優しさに満ちている。
<br />つまり感情がストレートで豊かなのだ。
<br />
<br />好きな歌
<br />「あしひきの 山のしづくに 妹待つと 我れ立ち濡れぬ 山のしづくに」
<br /> 作: 大津皇子
<br />
『万葉集』の名歌140首を選んで解説しているこの本は「ビギナーズクラッシックス」の名の通り、『万葉集』入門書としてとても優れている本だと思います。歌と解説にはすべてルビが振ってあるので、声に出して読むとき、間違えずに読むことができます。また現代語訳は、くせがなく原文に添ったありわかりやすい訳となっています。コラムの欄は読み応えのある文章で、さまざまな事柄を解説してくれます。また要所要所の写真、イラストは当時の暮らしや社会背景などを視覚で理解するのに役立ちます。この本で『万葉集』に親しみ、さらには4500首全歌通読に挑戦するのもいいかもしれません。私はいつもバッグに入れておいてちょっとした空き時間に1首づつ読んでいます。