今回は雪山症候群の謎解きが面白い。孤島症候群は読んでも読者で想像が出来ないような少し自己満足系に終わってましたが、これは読者にもしっかり頭を使わせる謎解きでよかったです。まさかオイラーの多面体定理が出てくるとは…
<br />射手座の日は、アニメですごいリアリティ溢れる演出で、小説ではどうかな、といった所ですが、さすがでした。しっかりと臨場感が伝わってきます。
<br />そしてエンドレスエイト、は桁違いの時間の壮大さ。誰でも一度は考えそうなことを見事にやってのけました。夏休みの無限ループとは。
<br />そして、何より、いとうのいぢさんの絵がレベルアップしたような印象です。すごい見やすいイラストになっています。
私のお気に入りの長門ちゃんがまたまた大活躍です。アニメでもありましたが、コンピ研とゲーム対決『射手座の日』を含む短編集です。彼女が頑張っているのはさすがっ!って感じですが、短編集のせいか、小粒の話が多く、それでいて、長門ちゃんの出番が多く、解決は頼りきりです。苦労してるような顔をしつつ、楽しんでるくせに、キョンが長門ちゃんに負荷をかけまくっているのが悪いっ!という気にだんだんなっていきますね。全体的にまぁまぁ、ではないでしょうか?そして『雪山症候群』の黒幕ってだれ??
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「涼宮ハルヒ」の名を冠して発表されているライトノベルシリーズの第5弾。
<br />このシリーズの大きな特徴として、時系列を全く追わず、張れるだけの伏線を先に張っておき、後でそれを回収すると言う創作手法が取られている点が挙げられます。
<br />この巻までで時系列的に一番先に進んでいるのは、第4弾で語られたハルヒ・キョン、高校一年のクリスマス前夜(厳密には若干違いますが)のエピソードですが、今巻には、その直後のエピソード、及び時系列的には遡り、一年生夏休み後半、文化祭終了後の秋と言う、季節感を前面に出した3タイトルの短編が収録されています。
<br />「エンドレスエイト」は、前巻「涼宮ハルヒの消失」と良く似たプロットによる、キョンがストーリーの主体となって語られるストーリー。設定としてはありがちで、収拾の方法もやや説得力に欠ける印象ですが、ハルヒの存在と世界の関係を久々にマクロ的観点から描いた作品でもあり、「涼宮ハルヒ」らしい作品と言えると思います。
<br />「射手座の日」はSOS団の学内活動が描かれるストーリー。といっても遊んでいるだけですけどね。ただ、まさしくそれこそがSOS団の存在意義であるわけですが。ハルヒの、周囲を勝手に巻き込んで己の傘下に強引に従えてしまう「台風の目」的パワーを描いたエピソードです。尚、この2編とも、ハルヒの暴走っぷりと同時に、有希の描写にも注目したいところ。前巻『消失』へダイレクトにつながる伏線を後出しで示している訳ですが、このように発表順を逆転させた関連付けが多用されているのが『涼宮ハルヒ』的構成の特徴と言えますね。
<br />「雪山症候群」は涼宮シリーズで多く採られている「トンデモSF」テイスト主体のパニックモノ。正直パズル解きの要素はとってつけた様な唐突感があり、イマイチ馴染んでないと感じられましたが、ハルヒの違った側面が見られるのは良いですね。また鶴屋さんの只者じゃなさっぷりも印象的でした。