今回も短編集でした。文化祭のハルヒのライブの話「ライブアライブ」、文化祭の映画の話「朝比奈ミクルの冒険 Episode00」、長門ちゃんにヒトメボレの話「ヒトメボレLOVER」、冬合宿の推理の話「猫はどこに行った?」、みくるちゃんの憂鬱の話「朝比奈みくるの憂鬱」。今回もなんだか小粒だなぁという感じ。朝比奈さんはキャラ的にしょうがないのかもしれないけれど、もう少ししゃんとして欲しいと「朝比奈みくるの憂鬱」を読んで思いました。一番、流されキャラですよね。そういや、古泉君の出番が少ないなぁ
涼宮ハルヒシリーズの第6弾。前巻に続いて短編集です。
<br />前巻収録の3編は、短編ではあるものの100P程度(「雪山症候群」は140P)のボリュームが有り、それなりに展開の起伏や時間経過なども含んだ展開だったのですが、今巻に収録されている5編の短編は「ヒトメボレLOVER」が100P弱である以外、どれも50P程度の非常に短い短編であり、SOS団的日常生活のごく限定的なワンシーンを切り取ったストーリーとなっています。
<br />涼宮ハルヒシリーズの構成的特長として、先に張れるだけの伏線を張り、その回収は後の編にまかせる(極初期に張られ、未だに回収されていない伏線も多々有ります)、もしくは一つの編内であえて重要なパーツを伏せ、後の編内でそれを解放して双方の関連性を高める、といったスタイルが多用されている点があります。それ故に各巻、各編毎を完結したエピソードとして読むことも可能では有りますが、やはりシリーズ全体を一本の大きなストーリーとして読むべき作品と言えますね。
<br />今巻収録の短編は、どれも前巻までに残されてきた伏線の回収と言う意味合いが非常に強く、シリーズ全体のミッシングパーツ的な意味合いの巻だと思います。ここまでの全体の展開は、極めてエキセントリックだったハルヒが(そしてその他のメンバー達が)、仲間同士の交流や様々な事件を通じて少しづつ普通の女子高校生っぽくなっていく様子が描かれている訳ですが、それぞれの変化の"起点"となっているエピソードが『動揺』としてまとまられていると言うのが一読後の感想です。「ライブアライブ」「ヒトメボレLOVER」「朝比奈みくるの憂鬱」それぞれ何にハルヒが"動揺"しているのかを考えてみると、キャラの位置付けががはっきりします。
<br />ただ、この著者の少々冗長な文体が、ミステリーっぽい展開にはあまり合わないとも感じられました。ロジカルな部分がうざったさを強調している印象ですね。
ピンチヒッターとして舞台に立ち、熱唱したハルヒ。
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<br />それまで その奇人ぶりだけが他の生徒たちに取り上げられていたハルヒが、初めて周囲に「認められた」瞬間であり、その上「感謝」までされた。
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<br />なかなか感動的な展開だと思います。
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<br />これを読んだら ぜひアニメ版「ライブアライブ」も見てください。
<br />特にバンド演奏シーンはその驚異的な作画力にびっくりすると思います。