著者は写真家ということもあり、世界の風景(もちろん主体は建物だが)写真という意味でも楽しめる。
<br />パラパラとめくって建物の写真と解説だけを楽しむのもいいが、中の旅行記のような文も大いに楽しめる。まるで現地を旅行しているかのような錯覚を覚えるのは、そこの生活の匂いを感じられるからだろうか。
タイトルの通り、自然の岩を使ったり、地下に穴をあけたり、水の上に家を造ったりと、世界のいろいろな地域の家をカラー写真と紀行文で紹介している。
<br />ひとつの話は10分ほどで読めるので、電車の中での読書に最適。まずは写真とその解説を眺めてから、本文をお読みください。
<br />残念なのはその地域の地図がないことかな。
あの「地球生活記」の小松義夫である。世界の家々。その形状、立地、暮らし向きなど興味に任せて写真をとりまくる。建築家ではない彼の視点は時には文化人類学的に高尚だが、大抵は俗な旅人の興味が大半だ。その家々もミャンマー、イエメン、チャド、パプアニューギニアなど人々の生活がシンプルで、その土地に根ざした生活ぶりが写真からしっかり伺われる。ただただぼうっと眺めるもよし、コンパクトサイズのこの本もって旅に出るもよし。何だか元気をいただける本である。