第2巻はホワイトベースのサイド7脱出から地球降下までを収録。
<br />全編(もっといえばシリーズを越えて)のライバル(時には頼もしい仲間)となるアムロ・レイとシャア・アズナブルの因縁の始まりである。
<br />かたや成り行きで連邦軍の新型モビルスーツに搭乗することになった少年。
<br />かたやルウム戦役で手柄を立てて「赤い彗星」のおくり名で両軍に恐れられている青年。
<br />よもやこの偶然の遭遇戦ともいうべき戦いが、これほど尾を引くとは誰も考えなかったに違いない。
<br />極言すれば、この二人のライバル関係が無かったら「ガンダム」は果たしてここまでビッグタイトルになったであろうか?
<br />このあたりを踏まえて読めば、より深く「歴史の重み」を体感することが可能になるかもしれない。
放映当時、小学1年生程度だった私には理解できなかった内容が、大変解りやすく厚みのあるものになっていて、大人が読んでも面白い内容です。それにしてもシャアの神秘的で哀愁を秘めた、一人の男性として見てもセクシーな魅力は読んでいてドキドキします。片腕を捕えられるセイラがうらやましくなってしまいました。
小学校低学年から中学年に照準を合わせて制作されるロボットアニメとは、明らかに一味違う。確かに見覚えのあるあの場面も、子ども向けならではの違和感を取り除いて描かれており納得がいく。<br>懐かしい名台詞やエピソードの盛り込み方にも、初期設定ではこのつもりだったのかな、と憶測しながら読むもよし。<br>情緒豊かなホワイトベースの若者たち。肥大に伴う衰退をにおわせる軍。反して消耗すれども躍動感に満ちた敵方の軍人たちが小憎らしくて、敵役はこうあってこそドラマも盛り上がる。<br>こんなヤツだったか、と首を傾げたくなるほどに冷徹なシャア・アズナブルは、若さと過剰な自信に満ちて大胆不敵。兄妹のちょっとキケンな「構図」は著者の狙いか、編集者のたくらみか。迎え撃つブライト艦長も、テレビで見たより若々しく大胆だ。<br>いや単に「子ども番組」という前提をフィルタにしていただけかもしれないぞ、と当時の自分を振り返ってみるのもまたよし。<br>「シャア少佐」が早口言葉として認知されたのは、確かこの頃。