第13巻は、ジオン側から見た1年戦争開戦前夜のエピソードを収録。
<br />国力・戦力ともに圧倒的な格差がある連邦とジオン。
<br />正攻法で考えれば、まともに相手にならない力の差がある。
<br />ハンデを回避する方法としてジオンは緒戦における大勝利を重ねる短期決戦を選択した。
<br />1つは「コロニー落とし」による頂上作戦、もう1つは少数ながら質で勝る新兵器の開発。
<br />シビアでリスキーな綱渡りではあるが、ここまでせねばジオンがハンデをふり払う可能性は無かったのだ。
<br />しかし、大義名分のもとに自らの掲げる主張とは反するかたちで多くの犠牲を払うという矛盾を犯してしまう。
<br />仮にジオンが短期決戦を成功させて講和を成立させていても、火種は仲間であるはずの宇宙市民の中に確実に残る。
<br />なんとなれば、そう遠くない未来にその火種を連邦に衝かれ、煮え湯を飲まされることになったのではないだろうか。
テレビでガンダムを見ていて、
<br />冒頭の地球にコロニーが落下する風景に謎を感じた方はいませんか?
<br />13巻はこんな私の疑問を払拭するような内容でした。
<br />ますますガンダムWORLDにはまっていく1冊です。
<br />丁寧な描写で、テレビでは描かれなかったエピソードが少しずつ明らかになっていくので、今後も目が離せません。
シャーが名を挙げたことでファンにもなじみの深いルウム戦役ですが、アニメではそれが凄惨な戦いだったことしか伝えられず、全貌は明らかにされずじまいでした。この13巻は、そのルウム戦役の火蓋が切られる直前までが収められています。
<br />開戦直前までとはいえ、長々と前置きした挙句いいところで「次巻に続く」などという姑息さは微塵もなく、ルウムの前段階である「一週間戦争」、とりわけ、アニメでは毎回前置きされていた、コロニーを地球に墜落させる例の「ブリティッシュ作戦」についても細かく筆が及ぶという盛りだくさんの「読ませる」内容になっています。(これについて、無名の男女を登場させたちょっとした挿話もあります)
<br />また、時流に主体的に関わってゆくギレンやシャーや三連星の客気、時流から外れたラルやデギンの屈託、湧き上がる情を理屈で慰めるドズルや憎しみに打ちひしがれるセイラの屈折など、戦争を舞台にした人間ドラマもこの巻の見所の一つです。
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