氏の作品を手に取ったのは初めてだったのですが、面白かったです。
<br />まず、メインの人物たちが好もしいです。
<br />特に川辺兄弟。ほわわ〜んとした兄としっかり物の弟。
<br />あまり似てないようで、お互いを理解し、しっかりと補い合ってます。
<br />他の人物は一癖も二癖もあり、中々侮れません。
<br />次に、「ゆめつげ」の能力。
<br />予言・お告げ的なものをこんな風に設定するのは目新しいんじゃないでしょうか。
<br />話の締めくくり方については、私は別に異論はなかったです。
<br />こういうのもアリかな、と。
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<br />シリーズ化はしてないようですが、もしも続編が出たら読もうと思わせる作品。
「しゃばけシリーズ」で有名な畠中恵さんらしい、ちょっとどきどき、ハラハラなのに、どこか切ない、でもほっこり…そんな気分になるお話です。難しいトリックや黒々ドロドロとした人間関係、そんなものとは無縁です。(ちょこちょこ、黒々したところもありますが)
<br /> 「青戸屋の息子の新太郎探し」を筋に、討幕や神官の未来などの問題が入り混じり、川辺弓月の夢告の暴走、川辺兄弟のプチ漫才(!?)。一気に読んでしまえます。教訓的だったのは「人には未来をどうこうする事などできやしない」ということ。そこらへん、とても良いお話だと思います。
<br /> ただ、兄弟で、まあおそらく兄が主人公なのでしょうが、もう少し弟が活躍しても良かったのでは…とも思えます。でも、キャラクターがどれも魅力的なところは、やはり畠中さんの特色だなあ、と感じました。どんな人でもスラスラ読めると思います。
数年前に浦賀沖に黒船が現れ時代が大きく変わろうとしている江戸時代末期。豊かとはいえない小さな神社の神官の弓月と信行の兄弟は、兄の弓月の『夢告』の能力を見込まれてある大店の跡継ぎを見つけて欲しいと頼まれて自分の家とは比べ物にならない大きな神社に赴いていく。
<br />そこで、二人はある事件に巻き込まれていきます。跡継ぎ探しに幕末という時代背景が重なり事件は複雑になっていく。大店の夫婦の過去を読み解き跡取りが見つかるところや、倒幕にあたり変わる神社や寺の存在などは面白く読めたが、明治維新後の話まで出てくるのは物語の最後としては物足らないし、いっそうのことそこまで手を広げる必要はないような気がします。
<br />二人の兄弟のキャラクターは愛すべきものなのでそこを広げてもらったほうが良かったかなとおもいました。