<br />様々な現代語訳を読んできましたが、ここが到達点かもしれないと思えます。
<br />国語学系のものは原典の用語用法に忠実であるあまり(語注にこだわりすぎ)、理解を助けるに不親切で、結局は別の解釈本が必要となります。
<br />国文学系のものは、物語性や文学性(和歌など)に重点を置くために、状況のディテールなどに緻密さが欠け、あらためて原典にあたらなければなりません。
<br />歴史学系は、訳者の思想性が強すぎて、意訳に近くなっています(とくに左翼系)。
<br />文学系は(小説家や詩人)、まあほとんど創作ですね。
<br />──ということで、本書はこれまでの欠陥を補っているとともに、解釈の集大成ともなっています。他の訳書に寄り道せずに(時間の無駄ですから)、最初から本書を手に取ることをお薦めします。
子供の頃、絵本で「天の岩戸」、「ヤマタノオロチ」、「因幡の白兎」
<br />などを読んで以来、何度も岩波文庫の古事記を読もうと挑戦し、その
<br />たびに日本人でありながら日本語が理解できないというトラウマとジ
<br />レンマに陥り、そのたびに疲れて断念しておりました。
<br />今回、梅原猛先生の訳でやっと読むことができました。
<br />これを契機に、他の訳や日本書紀なども読んでみたいと思います。
<br />文庫ででているのが、尚、嬉しかったです。
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天武天皇は、稗田阿礼(ひえだのあれ)に神代から推古天皇までの多くの神話・伝記・歌謡などを語らせた。
<br />それを元明天皇の時代に太安万侶(おおのやすまろ)がまとめたのが‘古事記’だ。日本最古の書物として有名。
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<br /> なぜわざわざ編纂されたのかというと、政治的背景があるらしい。
<br />元明天皇が女だったから、らしい。天智天皇の皇女だった元明天皇は、即位する前、草壁皇子の妃だった。
<br /> ところが、草壁皇子は即位前に死に、元明天皇との間に生まれた文武天皇も即位後、早死にしてしまう。
<br /> 残された文武天皇の息子(聖徳太子のこと)は、まだ子供。
<br />そこで、祖母の元明天皇が代わりに測位した。
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<br /> こういった理由で、アマテラスから孫のニニギへと、天上界から地上界への統治権が授けられたことを物語る「古事記」が編纂された。
<br />元明天皇から聖武天皇への譲位を正当化するためのものだったらしい。
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<br /> ウンチクめいていてすまない。好きなので・・・古典は。