結局小さいころから訓練受けなくてはいけないんじゃん。
<br />考えてみてください、たとえば10歳からヴァイオリン始めた
<br />人と17歳から始めた人とじゃどっちがプロになると思う?
<br />それって努力でうめられるものなの?うめられないだろ。
<br />結局小さいころからやってた人間が勝つんじゃん。
<br />遅くから始めた人間は趣味で終わりってことですね。
<br />お慰めでしかない。
<br />
私は三十代後半でバイオリンをはじめました。
<br />指が動きません。
<br />楽譜が読めません。
<br />高価な楽器も買えません。
<br />練習する場所もありません。
<br />でもバイオリンをひきたかった!
<br />
<br />練習中に悔しくて涙を流したことがあります。
<br />できない! できない!
<br />
<br />でも、それは短慮でした。
<br />私はまだ何も努力していない。
<br />本当の練習すらしていない。
<br />弦楽器演奏のスタートラインにすら立っていなかったんだ。
<br />ならばできないのはあたりまえだ。
<br />ゼロからはじめたのなら、1、2、3・・・と
<br />練習の積み重ねでスタート地点をはるかに離れていくだけだ。
<br />
<br />本書を読んでそう思いました。
<br />
<br />高い人格の発露が芸術である。
<br />演奏や絵画が芸術なら、あいさつも芸術だという筆者の信念。
<br />
<br />おごらず、えらぶらず、素直に、素直に、
<br />こんなにもたくさんの愛を命の限り伝えてくれた
<br />素晴らしい先生。
<br />人類の師です。
<br />
<br />世界中のこどもが本当に尊重され、愛され、
<br />音楽とともに満たされた人生を送れるように
<br />本気で行動された偉大な先生です。
<br />
<br />写真の、優しさにあふれた笑顔。
<br />まさに天使とも仏ともみまがうような慈愛の笑顔です。
<br />
<br />今、何かにつまづいている人、小さなお子さんを持つ
<br />お母さん、何かをはじめるのに遅すぎることはありません。
<br />
<br />ぼろぼろ涙を流しながら読みました。
著者は『ヴァイオリン指導曲集』などでも知られる、クラシック音楽の教育者であった。本書を無理に区分するなら、「自伝的エッセイ」といえる。
<br /> さて、「タイトル名」や「クラシック音楽の人」であったことが、先入見を与えそうなので、まずはこれらの点を取り除かねばならない。良書であるが故に。
<br /> 『愛に生きる』というタイトルから連想される、宗教的主張の類いでは全く無い。とは言っても氏の携わっていたクラシック音楽は、キリスト教の影響を多分に受けているし、目次にあるように、トルストイの影響を通じて流れ込んでいるので、それを感じられはする。しかしそれを過大評価するのは、全体の主張からすれば針小棒大といえるだろう。同様に、「スピリチュアルなもの」としての期待を本書に寄せる方も、満足しないだろう。それは本書の底に、氏の「ありのままに見つめる」眼差しがあるからだ。『科学は、わからないことはわからないとするものでした。それならば、科学を口にするほどのひとは、わかりもしない"生まれつき"などという、人間の才能に関する考え方はやめなければならないはずです。』(同書より)という点から(発達心理学にも合致する)「能力」、「才能」について教えてくれるのである。
<br /> とてもやわらかで、分かりやすく、また品のある文体とは裏腹に、著者自身の自己を見つめる目はとても厳しい。実践してきたこと以外に話が及ぶことはまず無い位だ。これは表裏一体だけれども、クラシック音楽に馴染の薄い方には、その話ばかりのように見えて、少々とっつきにくいかもしれないが、小説のように読み進められる不思議な魅力が備わっている。だから、およそ日本のクラシック音楽界の閉じた雰囲気は、ここには無い。
<br /> 「生きること」が、幾歳になっても「能力を磨くこと」と切り離せないと考える方には、手元に長く置いておきたい絶品の書として、推薦したい。