ヒントをもらった。
<br />ふてぶてしい目つきで、小憎らしく宙返りするネコに。
<br />泣いたことなんか無い。なにもかもが、嫌いだった。
<br />けだるい感じのネコが、変わっていくさまが…
<br />ラストの表情が、たまらない。
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<br />「命の大切さ」を見失いがちな、現代こそ
<br />胸にせまってくる、モノがある。
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<br />PS●昼休み本屋でパララと失敬、有意義な気分転換になった。
<br />表紙でヨコジマのネコ。囚人のイメージだな。
<br />あの出会いが、…解き放ってくれたんだろな。
自分以外の誰かを愛することを知って、はじめてちゃんと、死ねたネコ。
<br />生まれ変わらずに、愛する人の待つ天国へ行けたネコ。
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<br />子供の頃はラストのネコの死が悲しくて泣きましたが、
<br />人を愛するってことが本当には実感できてなかったと思います。
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<br />自分が成長する過程で、感じ方が変わってゆく本です。
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自分を愛せない生き方、人は図らずもそんな生き方に陥ることがままあります。心無い支配者に左右される身の上−抑圧された中で、本当の自分を偽りながら自分を否定しながら生きていくと、自分を愛せなくなります。
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<br />百万回生きた中で巡り会った百万人の飼い主たちは、自分なりにねこを愛したのでしょう。だけどやっぱり、ねこを本当の意味では大事にしきれていなかったのかもしれません。のらねこになって初めて与えられた、誰のものでもない自分自身の生。自分らしく生きることが出来て、ねこははじめて自分を好きになりました。そのとき、愛する妻子を得ました。もう、百万回生きたという自慢話は、彼にとって輝きを失っていました。そして、納得づくで生きました。それ以上の生なんてどこにもないのでしょう。
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<br />そんな当たり前に思える生に巡り会うまでに百万回も生きなければならなくて、でもそれを見事に果たし終えたねこに、敬意を表したいと思います。