あらゆる人生があることを教えてくれました。
<br />偶然、目覚めてしまったムーミンと一緒に、もう一つのムーミン谷を覗いてみませんか??
<br />おしゃまさんはじめ、冬にしか出会えない、いろんな人生に出会えます。
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家族がみんな冬眠しているのに、冬のさなかにすっかり目を覚ましてしまったムーミン。<p>ムーミンが最初、寂しく、心細く、とっても孤独だった気分が、本当によく判る。そう言えば私も子供の頃、夜中ふいに目覚めてそのまま眠れなくなってしまうことがよくあった。<br>そういうことが続く時は、夜中にまた目覚めてしまわないかと朝のうちから心配したものである。<br>この本を読む度にすっかり忘れていた子供心を思い出し、ヤンソンさんは何故こんな子供の気持ちをずっと忘れずにいて、それをこんなに素晴らしい描写で、描き出せたのだろうと思うのである。<p>フィンランドの厳しい自然に育まれた、気高く恐ろしいまでに美しい冬の物語。春の匂いのする暖かい風が流れ込むシーンは、胸がすく思いがする。ムーミンが、逞しく成長してゆく、大好きなムーミンのシリーズの中でも一番大好きな1冊。
~一体全体、どうやったらこんな物語を思いつくのやら。ヤンソンのムーミン・シリーズを読んでいると、そんな賛嘆・驚嘆の念が湧いてくる。「ムーミンは河馬だ」と考え違いをしている人、30年くらい前のアニメのムーミンの甘ったるい雰囲気で「大人が読む物じゃない」と思いこんでしまった人、是非とも講談社のこのシリーズを読んでいただきたいし、特にこの巻は~~お勧めである。家族みんなが冬眠しているのに、ぱっちり目が覚めて、どうしても眠れなくなったムーミン・トロール。心細い彼の住むムーミン屋敷に現れる登場人物(?)たちは、どこか変わっていて、ムーミン・トロールの孤独を和らげるどころではない。大ストーブの裏に住むご先祖、流しの下の住人、美しくも恐ろしい氷の女王、自分がオオカミだと信じる子犬~~などがA雪に埋もれたムーミン谷で繰り広げる、不思議な物語。~