この本には、説得力があります。
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<br />本書は、数々の失敗の中から池上さんが学んできたことばかりです。この手のテーマを扱った本にありがちな「きれいごと」や「あるべき論」は一切ありません。本当に重要なこと、大切なことを伝えようとする著者の姿勢に好感を覚えました。
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<br />「言葉にする」ことが大事であることをあらためて実感しました。
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「どうすれば相手に自分の考えが伝わるのか」という池上さんの試行錯誤を、わかりやすい文章で綴ってあります。<p>池上さんのお話はとてもわかりやすいが、文章もわかりやすい。どうすればこんなに「わかりやすく」なるんだろう...。そんな私の疑問に、池上さんがこの本で答えてくれました。この本を読むと、池上さんの「常に聞き手の立場に立って話をする」姿勢や、それに対する努力が伝わってきます。この本も読者の事を考え、私に話し掛けるように書かれてあるのでわかりやすいのですね。
著者自身が言うように、タイトルから想像されるような「わかりやすい話し方のテクニック」(あとがきより)は、たしかに、書いてない。<p>テクニックではないのだ。なんというか、話し方のコツのようなものがすーっうと入ってくる。<p>「わかりやすく説明するための5箇条」(5章より)のひとつに「身近なたとえに置き換える」とある。まさに、この本がそれを物語っている。<br>池上さんの報道記者としてのキャリアにおける豊富な経験例を通して、人に言いたいことを伝えることの難しさやコツが実感できる形になっているのだ。<p>池上さんの記者歴に沿って章立て。著者の自伝にもなっている。常に人に伝えることとは何かを考えてきた、まさに、この道のプロである。<p>「です・ます」調で書かれ、読者は直接語りかけられているような気にさせられるだろう。スグ読めてしまう。けど、わたしは、一文一文、味わって読んだ。速読しては、なんだかもったいない気がしたのだ。<p>著者の人柄がほんとに、よく、伝わってくる一冊。