脳とからだとの関係、とくに「スポーツ」に具体的な事例をとりながら、勝負に勝つための「脳」の鍛え方を説く本。勝負に勝ちたいと願い、相手を上まわる戦略を考えること、この人間本来そなわった本能を、ふだんの生活、仕事、勉強などに役立ててゆくことを薦める本である。スポーツに題材を取っていることが多いので、スポーツマンにはとても参考になるだろうし、スポーツマンのみならず、ビジネスマンなどにも参考になる部分が多い。
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<br />とくに、「脳の疲労」について書かれている部分に興味を惹かれた。著者によると、からだの疲労は安静にしたり、入浴したり、眠ったりすることで回復できるが、脳の疲労というのは、そう簡単に取れないという。人間がもっとも疲れを感じるのは脳が疲労したときだそうで、脳に疲労を溜めた状態ではなにをやってもうまくいかない。
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<br />このような脳の疲れをとるには、仕事や上司の話題を避け、気のおけない家族や友人とともに、好きな香りを嗅ぎながら楽しい会話のひとときを過ごすことがもっとも有効であるという。
<br />新書としてはかなり ”短め” の構成。
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<br />わずか167ページからなる本書は、語るべき内容が凝縮された、好感の持てる一冊であった。
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脳神経科学、脳外科、救命救急医学の専門医であり、脳低温療法開発で世界的な評価を受けた林 成之氏が、脳のしくみを分かりやすく説いたのが本書である。
<br /><勝負脳>という言葉は林氏が造った造語であり、ひとことで言えば、勝負に勝つための戦略を練る知能を言う。
<br />勝負事というのはスポーツの世界だけの言葉ではなく、人生には勝たなくてはならない様々な局面にぶつかる。例えば入学試験や資格試験、顧客獲得のための営業活動やプレゼンなど・・・。勝負に無縁な人間など一人もいないのではないだろうか。
<br />その勝負の結果、誰でも一度は、自分は実力に見合った結果が得られていないと思ったことがあるのなら、それは勝負脳が弱いためである可能性が高いと言えるそうです。
<br />本書では、身近な例とともに分かりやすい解説が添えてあるので、難しい言葉で埋め尽くされた下手な専門書を読むよりも数百倍読みやすい良書だと思います。
<br />勝負脳の鍛え方を知らずに負けるよりも、知って勝ちにいきたいと強く思いました。
脳神経の専門家が、懇切丁寧に脳と心の働きから勝負脳をどうやってつくるかを説いている。とてもよく頭に入るように書かれているので読みやすく、実践したい意欲を持たせてくれる。とても良い本。巻末に著者が書いているように、今何歳の人でも、この本に書かれている心の機能を高める習慣をつくることで、いきいきと働く脳になっていく、というのは、うれしい。肯定的に人生を生きていく上で、この本の意義は大きいと思います。