他からの出版もあるが、この講談社学術文庫版を推薦するのは、第一に、カエサルの部下であったヒルティウスの筆による第八巻までもが収められている点である。文学的な評価はカエサルに劣るというのが大方の意見ではあるが、貴重な記録である事には変わりなく、また、これによって続編とも言うべき"内乱記"へ滞りなく移行できるのである。第二には、同じ訳者による"内乱記"も出版されている点、第三に、巻末に日本語表記の地図が掲載されている点である。
カエサルの戦争術を学べる本。<p>ガリア地方(南北約965km、東西約935km)を、3万前後の軍で征服したカエサルの戦争術を学べる。迅速な機動・兵力集中・各個撃破・政治力の活用・補給線の確保によって広大な地域をいかに征服するかの事実の総合的記録であり、地図上で地名・日時を押さえながら、軍をどのくらいの速度で移動させ、その意図は何だったか、そのためには何が必要だったか、技術的な限界はどこまであったかなどを知ることができる。<p>カエサルは、軍を迅速に移動させ兵力集中を実現し、各部族を各個撃破した。各個撃破するためには、敵部族の兵力集中を防止しなければならないが、カエサルは、それを1つには副官ラビエヌス軍による牽制、1つにはナポレオンが言うところの自軍の評判すなわち政治力による牽制によって実現した。<p>そうして、戦役初期には、カエサルが淡々と各部族を征服していく様が記録されている。そして、戦役中期には、ゲルマン地方・ブリタニア地方へも遠征し戦線を拡大していく様が記録されている。そして、戦役後期には、ガリア側にウェリキンゲトリクスという指導者が現れ、ガリア部族の意志統一・ローマ軍の補給線への攻撃・焦土作戦によって、カエサルを苦しめるのであるが、アレシアの戦いでカエサルが勝利する様が記録されている。<p>戦闘レベル・戦術レベルの知識は、近山金次氏の(注)・国原吉之助氏の(注)・塩野七生氏の著作によって知ることができる。カエサルが、ガリア戦役と同時に遂行した政治的野心の実現は、長谷川博隆氏、塩野七生氏の著作によって知ることができる。これらによって、カエサルが下した個々の決断の前提条件・背景がより立体的に把握できる。
(;'Д`)ハァハァ ローマの武将・政治家ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)によるガリア(現在のフランス)遠征の記録で、引き締まった文体は古来からラテン語の名文として評価されている。事実を淡々と記述することによって迫力のある戦記となっている。<p>なお、紀元前の話なので、背景も含めて知りたい方は塩野七生「ローマ人の物語(4) ユリウス・カエサル ・ルビコン以前」を読んだ方がいいぜ?!